【朗報!絵画コンクール入賞】広島平和記念式典に参列しました①
2023年8月15日
読書感想画部門で毎年参加している夾竹桃物語~忘れていてごめんね~コンクールにおいて2名が入賞しました。
今年も8月6日の広島平和記念式典への参列、その後表彰式という貴重な経験をさせていただきました。
数年ぶりに保護者も一緒に参列することが出来、保護者の方からご感想をいただきました。
10年に一度の高温が続く2023年、夏。大変ありがたいことに、息子が「夾竹桃物語-わすれていてごめんね」絵画コンクールの賞をいただいたとの一報を受けました。なんと、8月6日、広島で開催される表彰式典に招待されるだけではなく、平和記念式典にも参列することができるとのこと。息子に連れられて、私も生まれて初めて広島に行くことになり、それも78年前、世界で初めて都市に対する核兵器攻撃が行われたその日、その場所に行くということにやや感傷的になりつつも、受賞という最高の形で滅多にない機会をプレゼントしてくれた息子に感謝してその日を待ちました。
式典前日の8月5日、最高気温35℃を超える暑さでしたが、息子と2人で行く広島の街並みに自然と足取りは軽くなります。まずは、息子の希望で広島焼きに舌鼓を打ち(鉄板の熱とソースのおかげで体中の水分が蒸発したようになりましたが…)、まもなく平和記念公園へと向かいます。元安橋から元安川を眺めると、「あ、この景色、見覚えある」という声が出ます。息子が絵を描くときにインターネットで見ていた画像と現実がつながったようでした。「原爆ドームがあるよ!」川の向こうに見える原爆ドームは、息子の絵にも描かれていましたが、もちろん直接目にするのは初めてです。「これを描いたんだよ」そう言ってしばらく眺めると、公園に咲く夾竹桃の花を見つけました。「写真を撮ろう!」きれいに赤く色づいた花が、原爆が落とされたあの日もここに咲いていたのかと思うと、カメラを向けるのに少し緊張しました。今、息子のことを写真に撮っているこの地で、どれだけの方々がどれほど辛い思いをしてこられたのか、そしてその辛い思いと、戦争からの復興のための計り知れない努力の上に、現在の日本の平和があるということを改めて感じさせられました。
そして、平和記念資料館へと足を進めます。平和記念公園がある場所が、かつてはとても賑やかな歓楽街であったことを初めて知りました。そして、多くの人が愛したその場所がたった一つの爆弾で一瞬にして消え去ってしまったこと、多くの犠牲者、多くの被爆者、後遺症に苦しむ人たち、そして原爆が残した消すことのできない傷跡をたくさん見るのは、本当に胸が締め付けられる思いでした。小学3年生の息子にとっては、今まで見たこともないような衝撃的な写真や遺品の連続に、言葉を出すこともままならないような様子でしたが、それでも自分なりに、実際に日本で、この地で起きた現実を受け入れようと、資料を一つ一つじっと見ていたのが印象的でした。
資料館を出ると、翌日の平和記念式典の会場準備が進められていました。「明日は皆がここに来て、亡くなった方々のご冥福と、世界平和をお祈りするのだよ」ということを話しながら、再び原爆ドームの前を通りながらホテルに向かいました。すると息子が、「あ、こっちから見たほうがしっくりくるな、僕が描いたのはこっちの原爆ドームだ!」どうやら描いた向きがあったようです。なるほど、絵を描くのにしっかり観察して頭の中に残っているから、現物との比較もしっかりしていたのだな、と感心しました。
翌朝は6時45分にホテルを出て、平和記念式典に向かいます。この日もこれでもかと言わんばかりに照り付ける太陽の下、早朝から気温がぐんぐん上昇しましたが、感染症による制限も解除されて初めての式典ということもあり、例年になく多くの方が日本全国のみならず諸外国からも多数参加した式典となったようで、人の多さに圧倒されました。そのような中、式典の自治体招待席に列席して参加することができたことは、我々親子にとって非常に貴重な経験であり、私は受賞者である息子に感謝するとともに、夾竹桃物語事務局の方々のご配慮には感謝してもしきれません。
8時に開式した平和記念式典では、広島市議会議長による式辞や遺族や被爆者の代表の方々などによる献花の後、原爆投下時刻の8時15分に1分間の黙とうがあり、続いて松井一實・広島市長による「平和宣言」がありました。この「平和宣言」のなかの、「夢や希望がある」といった気持ちになれるような社会環境を整えることが重要だ、という部分が心に残りました。昨今のウクライナ情勢では、「夢や希望がある」状況など存在するようには到底思えません。むしろ、市民たちは夢や希望を奪われてしまっているように思えます。自分の夢、希望を持てない暮らしの中で、果たして、人は何かを頑張れることができるのだろうか、一生懸命に生きることができるのだろうか。人間が「生きる」根源には、夢や希望があり、それぞれが自由に夢や希望を持てることが、世界中の人々の平和な暮らしの実現につながっていくのではないでしょうか。子どもたちにも是非、この「平和宣言」について深く考えて欲しいと思いました。
さて、平和記念式典を少々早めに切り上げ、夾竹桃・原爆ドームの前で記念撮影をしてからホテルに戻ると、次はいよいよコンクールの表彰式典です。何の賞かは事前には知らされていないため、いつ名前を呼ばれるかわからずドキドキです。式典には、作者の緒方俊平先生の他、緒方先生の親友ということで広島遠征に来ていた読売巨人軍の原監督もサプライズ登場され、大いに盛り上がりました。
今回、息子は「日本動物愛護協会賞」を受賞することができました。息子は絵を描くのが本当に苦手で、なるべく絵を描くことから避けようとしていたところから、自分の大好きなジャム作りの様子を絵に描いたことをきっかけに、突然、人が変わったように絵を描くのが好きになりました。こひつじかいの先生方のサポートや、阿部恭子先生のご指導の下、少しずつ成長することができ、今日につながったと感じています。また、周りのお友達やお兄様お姉さま方の力も借りながら、時に助け合い、時に競い合いながら、好きなことに大いに夢中になれている今、まさに「夢や希望がある」という気持ちを抱き、未来に向かっているように感じます。このような環境で生きていくことができるのも、今回このような機会をいただけたのも、日本という国が平和であるからこそであり、日々感謝の気持ちを持たなければいけないと、改めて思い直しました。
緒方先生から子供たちへは、決断力をもってやりたいことをやってみようというお言葉がありました。大人の私もハッとさせられました。やりたいことができているか、実行に移せているか、折に触れて自分の胸に手を当て問いただしてみようと思いました。
原監督からは、一つのことを一生懸命に頑張ろうというメッセージがあり、息子もパワーを受け取ることができたでしょうか。いつかこの日を振り返って、素晴らしい経験をしたねと息子と語り合える日が、今から楽しみです。