<こひつじかい>成田ゆめ牧場
2015年1月23日
1月18日(日)の朝、新年中さん以上のこひつじかいの子ども達がJR品川駅高輪口に集合しました。通勤客で混み合ういつもと違って、とても静かな駅に、意気揚々と集合時間30分前に到着したのは、りんたろう君です。お稽古場から1人で電車で帰ったりと、普段から練習をしているので、今日も自信に満ちた表情でやってきました。そうこうしているうちに、あちらからもこちらからも元気なご挨拶が聞こえてきました。集合時間前にはほぼ全員集合です。儀式「お母様方へのお別れのハグ」も終わり、さあ出発です。今日は電車を乗り継ぎ、成田夢牧場へ参ります。ホームでは成田エキスプレスを見たりして、エアポート成田に乗り込みました。チームごとに座って、東京の景色をしばらく堪能します。十二支のしりとりを覚えていると、真っ青な空にスカイツリーがくっきりと浮かび上がりました。「今度の遠足に行きたいな!」「階段で天辺まで上ろうよ!」と口々におしゃべりは弾みます。どのチームも楽しそうで、ついつい大きな声に・・・とは言いながら、公共の場でのルールもしっかりと守らなくてはいけません。お互いに「しー!」と言い合ったり、キラキラ光る埃をつかむあそびを考えたり、電車の中にも遊びが一杯です。
成田で成田線に乗り換えたら、成田山の大きな提灯が見えました。乗り換えた後は、成田から2つ目の「滑河駅」で降りるために、指をおり、アナウンスを聞いて、慣れない場所へ行くときの練習ができました。滑河駅からはお迎えに来てくださったゆめ牧場のバスに乗り込みます。バスは畑を通り、田んぼを越え、山道を進みます。成田ゆめ牧場の大きな看板を曲がると到着です。バスを降りるとまずは七福神の前でお参りをして、トイレを済ませ準備万端。ゲートの向こう側にはどんな世界が広がるのか、わくわくです。
ゲートを抜け、牛舎へと足取りは早まります。牛舎の前では、かわいい子牛たちがみんなが来るのを「もーもー」とかわいい声でお出迎えをしていました。リュックサックを置いて手と靴を消毒してから牛舎に入ると、お腹をすかせた牛達が沢山います。親牛たちの前には生まれたばかりの子牛たちもいました。今回は「どんな耳の形 ? どんなしっぽ ? どんな爪 ? を良く見てみよう! 」というテーマなので、一生懸命に、草をあげながら耳をさわってみたり、位置を確かめたり、しゃがんで爪を見たり、しっぽの様子を確認したりしていました。その甲斐あって、いつもの「大きい!」「かわいい!」という言葉の他に、しっかり観察したことによる沢山の言葉が飛び出していました。草をあげるのも誰一人として怖がらず、子牛にお話をしながらあげている子もいました。やはり子ども同士、子牛がかわいくって仕方がない様子でした。
観察したことを忘れないうちに、早速牛舎の横の大きな牛達を描きます。自分達でよく見えるところや、日向の暖かい場所を探してのお絵かきタイムです。乳絞りまでの待ち時間は、グラスそり滑りをしました。そりで滑っては登り、滑っては登りを何度も繰り返します。ただ待っているのでは寒さを感じますが、子どもは風の子!の通り、みんなはすでに身体がぽかぽかになりました。
乳絞りの3つのお約束をおぼえてから、「せいらちゃん」の乳絞りがはじまりました。シャワーの様に勢いよく出てくるお乳にみんな大興奮!バケツいっぱいに絞ることができました。「上手に絞ったら、せいらちゃんからご褒美にアイスクリームをもらえる!」と、みんな優しく丁寧にお仕事をしました。やわらかっくて、暖かい、そしてとっても大きいおっぱいは、なんだか懐かしい感じを覚えたようにも見えました。
朝が早かったので、すでにおなかがぺこぺこです。今日はお母様のお弁当ではありません。今日はみんなで、バーベキューをします!みんなで囲む鉄板は、とても素敵なランチに違いありません。牛肉が焼けるとすぐにみんなでぺろり。取れたてのにんじん、かぼちゃ、ピーマン、キャベツなどのお野菜も、焼けるのが待ちきれないくらいの勢いで、どのチームもいただきました。「お代わり!」の声も連発。沢山歩いて、遊んで、そして、みんなで食べるバーベキューはとっても美味しかったみたいです。
リーダーのお姉さまたちとの会話もすすんだところで、小学生リーダーのあみちゃんが率先してお片付けをしてくれて、みんなも空になった食器をお片付けしていました。周りの様子をみて、自分から行動が出来るようになってきた新年中さん。去年の夏のキャンプからの成長に本当におどろかされます。
デザートは、いちご摘みです。真っ青な空の下、ガラスハウスまでの道をみんな競争です。言いだしっぺは、これまた新年中さん。彼らの合図でお兄様たちもはりきって走ります。ハウスの中に入ると、甘い匂いが漂っていて、南国のようにあたたかく、早速用意された器とミルクを片手に、いちごを摘みとり試食します。お花にはみつばち達もいましたが、摘んでいる子ども達に、「このいちごは甘いわよ!」と教えてくれいるように、羽を動かしていました。白いお花、小さな白いいちご、緑のいちご、そして真っ赤に熟したいちごが所狭しとなっていました。「章姫」「とちおとめ」と2種類のいちごを食べ比べてみると、味の違いも分かりました。子ども達は美味しいものの味を沢山知っていますが、本物の舌が持てるようになったら、人生楽しみも増えることでしょう。余談ですが、今は賞味期限、消費期限などの目安が分かりやすくなっていますが、本当はその情報に頼るのではなく自分の目で見て、自分の舌で感じるようになったらよいと、ふと思いました。
美味しくいただいた後は、お絵描きです。いちごに埋もれながら、おやゆびひめにでもなったかのような笑顔で絵を描き上げている子ども達の姿がとてもいとおしかったです。
大きな山の上に、子ども達を迎えてくれたのは羊君です。子ども達が近寄ると、優しそうに寄り添ってくれました。子ども達も羊君をなでたり、一緒にこひつじかいの仲間のように寄り添っていました。
次は摘みたてのいちごを使ってのジャム作りです。1人1つのお鍋にいちごを入れ、割りばしを使って一生懸命つぶします。みんな真剣な顔です。ジャムの先生のお話を聞いて、手順よくやります。火をつけて、お砂糖をすりきり4杯入れて・・・。初めて耳にする言葉もありますが、リーダーやお兄様達に助けてもらいながら、ふつふつといちごジャムが完成しました。容器には自分の目印を書きました。ジャムを作っているうちに、斑尾でブルーベリージャムを作ったことを思い出して、キャンプの話にも花が咲いていました。子ども達はやはり自分達がやってきたことはしっかりと記憶していることを確認しました。
ジャム作りが終わるとまた一山登り、農園に行きます。広い広い畑には冬のお野菜がたくさん植えられていました。12月に大根、白菜、長ネギを収穫したので、畑を見た子ども達は口々に野菜の名前を言っていました。今日はにんじんを収穫します。畑の係りの方に説明をうけ、スコップで周りの土をやわらかくして抜きます。本当は1人3本というお約束でしたが、あまりにもみんなが楽しそうに掘っている姿を見て、「沢山掘って良いですよ!」とのお許しが出て、大喜びでした。中には20本くらい掘っている子もいましたし、1本と思って抜いてみたら、まとめて4本取れた子もいて、それぞれが楽しんだにんじん堀りでした。終わってみると、なんと、にんじん畑はそっくりきれいに収穫されていました。
畑の中に走っているトロッコ列車に乗り込みました。ゆっくり走る列車ですが、これまたみんなで乗るので最高に楽しいのです!大喜びで、山にこだまをしてみたり、手を振ったり、鉄橋を渡り畑を1周しました。澄みきった青空に映る子ども達のその姿は、ポストカードから切り抜いたようでした。子ども達の楽しそうな声がこだましていたので、今までは誰も乗っていなかったトロッコ列車の駅には長蛇の列が出来、また、夢牧場の係りの方々が沢山手を振りに来てくださいました。
いよいよ今日のメインイベント、羊達との競争です。待ちに待っていたので、まだまだ元気いっぱいに走ります。羊一匹ずつにそれぞれの名前がありました。みんなお気に入りの羊と競争をしたり、えさをあげたり、羊達もとてもおとなしく、いっぱい交わりました。ウンチのお掃除をしてあげている子の姿も見えました。同じ場所にヤギ達もいました。ヤギ達は、真ん中に作られた長い平均台を見事に綱渡りしていて、さながら「3匹のやぎのがらがらどん」のようでした。ヤギ達が上手に渡っている姿を見て、一生懸命にほめてあげている子もいて、体操をしているときにほめられていることと重ね合わせているかのようでした。こんなにも身近で羊達と触れ合い、子ども達の目もキラキラとしていました。時間はいくらあっても足りません。時間を忘れて夢中になって、走りまわっている子ども達は無心でした。
「もっとずっといたい!」「羊とお泊まりしてもいい!」などの声も聞こえる中、帰りのバスの時間があるので、牛の「せいらちゃん」からのご褒美のアイスクリームを食べに行きました。半袖姿の子ども達も、アイスクリームを食べていたら、忘れていた寒さを思い出しました。子ども達の元気な姿を、成田ゆめ牧場の方からほめていただきました。
楽しかった時間は夢のように過ぎ、帰りのバスに乗り込みました。夢中に掘ったにんじんは結構重く、忘れてはいけないと思って先生が袋にまとめてみたら、あまりの重さにびっくり!持ち上がりませんでした。バスの中でも、夕日を見ては感激で喚起の声!まだまだテンションは下がりません。しかしながらいよいよ帰路へ。電車の中では皆がぐっすり夢の中に行くのかと思いきや、車窓を楽しみ、おやつを食べ、会話が弾みます。車窓から見える富士山と夕日は本当にきれいでした。
羊と過ごしたことはとても楽しいひとときだったようでした。お天気にも恵まれ、子ども達の笑顔もぴかぴか、どの写真も本当に楽しい思い出が詰まったものに見えます。品川駅を下りる直前に万歩計を見たら、なんと12キロです!この距離を歩くためだけに行ったら、きっと歩けなかったことでしょう。楽しいことを思いっきりやっていたら、知らないうちに達成できる!と驚き、子ども達の体力を見直しました。
誰の手も借りずに、自分でやる姿が本当に身についてきていることが確信できました。
そして、仲間と一緒にいることで、沢山の学びが子ども同士で築かれている姿こそが、子ども達にとって大切だと思います。
子ども達にとっても引率者にとっても、様々な発見のある大変充実した冬晴れの一日でした。