<東北復興プロジェクト>あべきょうこ先生&いそべっちの東北キャンプ~前編~

2015年4月23日

あべきょうこせんせい&いそべっちと行く釜石コスモス公園

4月17日~4月19日まで、タイ在住の画家あべきょうこ先生といそべっちとの特別企画キャンプを岩手県釜石で行いました。参加したのは新一年生を中心としたこひつじかいの子ども達です。
3.11東日本大震災から4年たった今もまだまだ復興は進んでいませんが、岩手県釜石市にはいつも子ども達の元気な声が響く公園があります。震災の後、「子ども達が遊べる場所を!」とつくられたコスモス公園です。ほとんどが手作りのこの公園の隣には、2014年春に巨大な壁画が完成しています。子どもの笑顔が見たい!と夢と希望を壁画に託して、創作農家コスモスの藤井さんご夫妻を中心に大人たちが動き出し、「子ども達の笑顔を取り戻すプロジェクト」が始まりました。そして、公園の前にある工場の暗い壁を明るい絵で飾りたい!という夢の種を、畑に小さな種を蒔くように、たくさんの人の心に蒔いていきました。これが芽生え「希望の壁画」プロジェクトが動き出し、一年前にこの壁画が完成したのです。たくさんの方々のたくさんの希望の種が少しづつ芽吹き始め、「希望の壁画」は花開き、子ども達が無心になって遊べる場所になりました。そして1周年記念として今年、夢を叶える「希望の鐘」ができました。この壁画と鐘を描かれたのがあべきょうこ先生です。こひつじかいの子ども達は先生の絵が大好き。

先生の描かれた絵から、いつもたくさんのパワーをいただいています。「東京の子ども達にも是非、コスモス公園で遊び、人のぬくもりを感じてほしい!」と昨年から少しずつこのキャンプの準備を進めて参りました。決して簡単に行くことができない釜石市ですが、たくさんの方の支えや協力のおかげでキャンプが実現しました。
そして古民家でのコンサートのために、きょうこ先生のアニメーション上演やピアニストの田畑先生作曲の「組曲こすもす」に合わせて子ども達が歌うというプログラムもできました。子ども達も歌の練習をしたり、皆がこの日のためにできることを自分達でがんばりました。

さあ17日、学校を終え、駅弁を持ってリュックサックを背負い東京駅に集合。憧れのきょうこ先生もご一緒です。はやてに乗り、釜石を目指します。岩手県新花巻までは新幹線で行けますが、目的のコスモス公園までは釜石線に乗って約1時間半、道中は長い道のりです。車中は、まずはお夕食。それぞれが持ってきた駅弁をこれからはじまる釜石の生活のお話をしながらいただきます。アミちゃんをリーダーに折り紙を折ったりお絵描きをしたり、きょうこ先生審査によるお絵描きコンテストも行われました。眠くなってしまうかな?という心配もよそに子ども達はアイデア満載の時間を楽しんでいます。きれいな夕日を見たり、仙台では双子のタワーを発見したり、車窓も楽しみます。

新花巻からは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のモデルと言われる釜石線です。電車の駅名はすべて星の名前という夢の電車に、子ども達は宇宙旅行にでも行くように大興奮でした。最終電車なので貸し切りかと思いきや、学校帰りの高校生で満員です。そんな電車でも子ども達は楽しみます。真っ暗な駅に着くと駅名を見たり、きょうこ先生とたくさんお話し、「洞泉」に着きました。ドアを開けるとお父さんお母さん(藤井さんご夫妻)がお出迎えしてくださいました。
満開の夜桜の洞泉駅から古民家への車の中では歌を歌いまだまだ元気です。残念ながら鹿には遭遇できませんでしたが、長旅の疲れも全く見せず、今日からお世話になる山の上にある古民家に入りました。目の前に広がる囲炉裏、炬燵、見る物すべてがが新鮮です。全員で入ることができる大きな炬燵に入り、これから始まる生活に話は尽きませんが、時間はすでに11時半。持ってきたシーツを出し、早速ねぐらをつくります。「冬眠!」を合図に夢の世界へ。

翌日は障子越しに朝日を感じ目を覚ませました。朝のお勉強をしてから待ちに待ったコスモス公園へ。目の前に広がる壮大な景色と釜石の空気に子ども達の眼は輝きはじめました。コスモス公園の壁画が木々の間から見えたのを合図に、子ども達は走り始めました。あっという間に着く道のりにも、つくし、ムスカリ、スミレ、タンポポ、水仙などに目を奪われ、小川のせせらぎに耳を傾け、会話も弾みます。どんどん大きくなっていく壁画までもうすこし。目の前に広がったコスモス公園を見つけると猛ダッシュで走りはじめました。静かだった公園に元気な声がこだましはじめました。

着いてみると壁画の大きさにびっくり!ピノキオ滑り台に登り、ブランコに乗って、体いっぱい楽しみます。ドラム缶のトンネルに入ったり、丸太の平均台をしたり・・・・。10時から始まる式典の祝賀会のために、創作農家こすもすレストランはたくさんの方々がお料理を作っています。

採れたての山菜があったり、釜石のお赤飯はいつものお赤飯とは違うことを発見したり、卵焼きやから揚げをつまみ食いさせていただいたり、これまた楽しい時間です。きょうこ先生が絵を描かれた「希望の鐘」に、子ども達は「忍者になりたい!バレリーナになりたい!お医者様になりたい!」などと願い事を書いて、鐘を鳴らしてお祈りをしています。石畳の帰り道には「叶」の文字が。

一つ一つから手作りの温かさを感じます。そんな中楽しそうに走り回る子ども達の姿を見て、子どもの未来や釜石の未来に思いを馳せます。大人達は今できることを一つ一つ積み重ねていかなければと思いながらも、ここにいると、釜石の皆さんが一生懸命に子ども達のために動いて実践してくださる姿からパワーをいただいていることを感じます。皆が精魂込めてかかわっていることを肌で感じられるだけで、ここに来た意味があるとひしひしと感じます。バンコクから、福岡から、東京から 秋田から、皆が集まってくるこの場所。この中で子ども達が過ごす時間は、本当に五感をフルにつかった心の勉強ができる時間となるでしょう。

コンサートに着るTシャツに絵を描くワークショップが始まりました。リーダーは高校生のひなこ先生です。きょうこ先生から学んだことを子ども達に丁寧に教えてくださいます。大人が引っ張るのではなく、皆がやれることを伝えていく!この事こそ、子ども達の素晴らしいお手本です。紙に描くいつもとは違って思い通りに筆が進みませんが、皆真剣に取り組みます。自分で考え、工夫して・・・・。

休憩に公園遊びを取り入れながら丁寧に仕上げます。絵を描いているときもブランコに乗っているときも、いつもコンサートの歌を口ずさんでいる子ども達の姿から、自分の任務を全力で全うしなければという気持ちが伝わります。Tシャツが仕上がった後は、田畑先生と古民家で歌の練習です。それぞれが一生懸命に練習してきた歌を、皆でピアノに合わせます。なかなか思うようにできませんが、あきらめることなく何度も何度も繰り返します。このとき土曜日に学校があった後続隊は花巻へ移動中なので、皆お友達が今どこにいるかを気にしながら、練習ができない分を教えてあげられるように、お友達の分まで頑張ります。たくさん遊んでたくさんお仕事をして、それに釜石のおいしい空気のせいか、すぐにお腹が空いてしまいます。きっと愛情たっぷりのお母さんのごはんがおいしいからかもしれません。コンサートの前には腹ごしらえをしっかりしてスタンバイ。手作りのシャツもとても素敵にできあがり、こひつじ合唱団が誕生しました。古民家にはたくさんのお客様がいらっしゃり、予想以上に緊張します。

いよいよ田畑先生のピアノが始まりました。隣のお部屋で出番を待ち、ついに「組曲こすもす」がはじまり皆さんの前に並びます。きょうこ先生が描かれたアニメーションに合わせてピアノが流れます。希望の壁画完成までの物語をイラスト800枚のアニメにし、田畑先生がこれに合わせて作曲なさいました。子ども達は春夏秋冬の「そして春」の部分に合わせて歌います。お客様方の目には光るものがありました。緊張していた子ども達もこの涙を見てたくさんのことを感じました。この後は「ビリーブ」。とても丁寧、丁寧に歌えました。古民家に響いた子ども達の歌声はきっと大人の方々のこれまでの困難を消し去ったのではないかと思います。夕方、コスモス公園で復興大臣政務官の小泉進次郎氏にも子ども達の「ビリーブ」をお聴かせしました。一生懸命に練習したことがたくさんの方の心の中に染み込んでいったことでしょう。コンサートでは、アンコールで組曲の「そして春」の部分を歌いました。笑顔がいっぱいになり、喜びも加わりとてもとても感動的な場面でした。すべてを終えた子ども達は、本当に自信に満ちた姿で笑顔満載です。子ども達どうしでお互いを褒め合っている姿は、微笑ましくもあり、胸がいっぱいになりました。 お客様がお帰りになった後も、お姉さまの指揮のもと大きな炬燵で日記を書いたり勉強をしたりして学びの時間を過ごしました。終わった人からお風呂に入ります。さぞ疲れが取れたことでしょう。

磯邊季里 @ 2015年04月23日 14:14 コメント: (0)

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