<東北復興プロジェクト>あべきょうこ先生&いそべっちの東北キャンプ~後編~

2015年4月28日

9時からは苅田敏三先生による水中生物のワークショップに参加しました。震災の後、まったくいなくなってしまった生き物たちが、時間をかけながら自然の自浄作用で川に戻ってきたことを知りました。

なかなか復興が進まない人間の世界に対し、自然界の計り知れない力を感じながら、レクチャーを頭に入れていよいよ川へ出発です。片手に網を持ちわくわくしながら、口々に今伺ったお話を復習しつつ、桜が咲き乱れる川へ。水の流れる音に耳を傾け、小石をそっとひっくり返して生き物を探します。「先生、これは?」の声をスタートに皆がたくさんの小さな小さな生き物を探します。その様子は小さな生き物博士のようです。夢中になって、たくさんの物を見つけ出そうとする様子は真剣でした。

河原では石拾いもしました。真っ白や丸い石探し、それだけでもずっとやり続けられそうに楽しめました。帰り道は山菜を探しながら昨日のコンサートの歌を口ずさみ、小川のせせらぎや小鳥のさえずりに耳を傾けました。
コスモス公園に着くときょうこ先生とのお絵描きがはじまります。今拾ってきた石に、今見つけた虫を描いてみます。子ども達の描き方は様々です。どんなふうに出来上がるのかが楽しみです。子ども達の感性は本当に研ぎ澄まされていました。石全体を虫に仕立てたり、素敵な作品が勢ぞろい。きょうこ先生にほめていただいて、ますます子ども達のやる気は邁進します。自分の顔も、上手に石の形を利用して描いていました。これはコスモス公園に記念にプレゼントすることにしました。ただの石だったのが、文鎮代わりになったりオブジェになったり・・・・

どんな隙間時間も子ども達は公園に行きひたすら遊びます。体を思いっきり動かせばお腹もすきます。よく遊び、良く学び、よく食べ、これで体力・気力ができ、心体技が磨かれるのでしょうか?コスモスのスタッフの方々が作ってくださったお昼を皆でいただきます。採ってきたこごみやワラビも食卓に並びます。自然の恵みをひしひしと感じる食卓は、これまた最高でした。お食事の間も絵本作家の指田先生の震災のお話がありました。

今回のキャンプの目的でもある「震災のことを感じ、かんがえよう!」は、テラスできょうこ先生の壁画を背に、松原先生に伺いました。何枚も何枚もの東北震災の写真をみせていただき、先生のゆっくりとしたお声で伺いました。怖い事、大変な事、自分が経験していない事ですが、ひとつひとつをかみしめてお話ししていただいて、忘れてはいけない事!とずしんと心に響きました。地震や津波が来たら何をしなくてはいけないかを教えていただけたこと、「津波 てんでんこ!」を知り、覚えました。

早速、古民家へ帰る道中で、今教わったことはどうゆうことだったのだろう?もし今本当に津波がきたら?と実際に体を動かしてみることに。「津波が来た!」という掛け声を合図に、高台に建っている古民家まで、各自が「自分の命は自分の力で守る」という気持ちで必死に走ります。「本当に走る練習しなきゃ!」「苦しくても、自分であきらめないようにしないと!」などなど、子ども達が自分達で感じたことを友達同士で話す経験こそが真の学びだったのではないでしょうか?いつもは甘えん坊の子ども達もこの体験の種が蒔かれることによって、命の大切さをしっかりとわかっていくと思います。

まだまだお別れしたくはありませんが、古民家とお別れです。お父さんと囲炉裏で写真を撮ったり、ありがとうの気持ちを自分で考えたいろいろな言葉で口々に伝えました。いつ作っていたのか、こんなに忙しい日程だったのに、子ども達はお父さん、お母さん、スタッフの方々、それぞれの先生へのメッセージを作りお渡ししました。自分でどのように感謝を伝えるかをしっかりと考え、行動できることはすばらしく、成長を感じました。お姉さま方が年下の子ども達にしっかりと伝えていってくれること!、絆を感じました。

新花巻までは、春の東北を見ながらスタッフの方が運転してくださるレンタカーで向かいます。車窓からの景色は3.11を感じることのないのどかなものでした。そんな光景を見た子ども達の口から「こんなにきれいな景色に戻ってよかった!」などと聞こえてきた後、しばらくの間、静かな寝息が続きました。
新花巻に着いてからは、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」のモニュメントでセロの奏でる音や、「銀河鉄道」の星座をまだまだ楽しみました。
「つくしにょっきりめをだして!」駅前で、またまたつくし採り。お母様方へ東北のお土産ができました。

駅弁を買って「はやぶさ」に乗ります。たくさん遊んだあとは、学びタイム。
日記を書いたり宿題をしたり、計算や漢字練習をしたり、そして最後にこのキャンプで感じたことを絵に表しました。お夕食は駅弁で、それぞれが選んだ駅弁を食べます。賢治弁当、SL弁当、白金豚弁当・・・どれもおいしそうです。岩手県まではかなり遠い道のりの長旅ですが、子ども達はどんな時間も大切に無駄にしないで、お父様お母様がくださったこのチャンスを大切に過ごしました。

明日から、また一週間が始まります。余韻もありますが、これからこのキャンプで感じ学んだことを土台に、コスモス公園で蒔かれた数々の種を芽吹かせていってほしいと思います。バーチャルではない、人のぬくもりは子ども達の心の中にいつまでも残り、どんなに小さなことでも伝えてい行ってくれると思います。
希望や夢がかなう「コスモス公園」で、将来を担う子ども達の夢・希望がかなうように「希望の鐘」をしっかりとついてきたこのキャンプを通して、一人で生きているのではなく皆に支えられていることを改めて心に刻みました。そして「自分の命は、自分で守る!」という「津波てんでんこ」の精神も覚えることができた東北復興プロジェクトキャンプでした。
このような時間を過ごせたこと、きょうこ先生との出会い!この喜びを子ども達にも味わっていってもらえるように、これからも精進していきます。

磯邊季里 @ 2015年04月28日 15:47 コメント: (0)

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