<こひつじかい>お母様達のお稽古&Orbi横浜 

2015年7月10日

日曜日、梅雨のじっとりした雨の中、年長さんが「おはようございます!」と元気にやってきました。でも今日はいつものお稽古と違い、お母様達に「行ってきます」を言いません。なぜなら、今日のお稽古のメインは子ども達ではなく、お母様達だからです。

子どもチームとお母様チームに分かれて席に着くと、すぐにお稽古スタートです。いつもやっているものから始まり、ノンストップで進んでいきます。どれもシンプルで簡単なものばかりですが、気を抜けば誰でも間違えてしまうものばかり。子どもだからハンデをもらう、大人だから手加減してあげるのではなく、対等だからこそ、全員が真剣な表情で取り組みます。全員で正解した時は、みんなで大喜び!と楽しそうです。最後のページが終わると「やったー!もうこんなにやっちゃった!」と何枚やったか数えます。スタートしてから約2時間、自然と甘いものが食べたくなるほど集中して、頭を使いました。

子ども達はここでお稽古はおしまいです。頑張ったあとのお楽しみ、子ども達だけの小さな旅に出発します。一緒に行く大人は一人だけ。しかも、説明したり、伝えるときは何でも1回しか言いません。あとは全部自分達で考えて協力するというのが、この旅のルールです。リュックに必要なものを入れて、公共の場でのルールも確認して準備は万端。いざ出発です!

傘をさしている時はいつもよりも太っちょになるので、必ず一列で歩きます。今日の並ぶときのルールはサンドイッチ。男の子がパン、女の子はたまごやハム、レタスにトマトなどサンドイッチの具の役です。ぎゅうぎゅうにつぶれたサンドイッチや間がスカスカのサンドイッチにならないように、自分たちで声を掛け合います。駅に到着し、切符を買います。子ども料金にしたり路線乗換の切符を買うので、手順は色々ですが説明は一度だけ。あとは一人ずつ順番に切符を買っていきます。今日は傘もあるし、地面も濡れているので、リュックサックを一回下ろして、、、などやっていられません。「手前のポケットから、お財布だしてくれる?」「ちょっとしまってくれる?」など声を掛け合いながら、最後の一人が買い終わるまで、全員で確認します。電車を待つときは、「降りる人が先だから、3人3人に分かれて並んでおこう」、電車の中では「次はこっちのドアが開くかな?」「あと何駅だろう?」とアナウンスに耳を傾けます。

みなとみらい駅に到着し、改札口に切符を入れると「ピンポーン!」あれ?改札が開きません。広尾からだと横浜までしか切符が買えなかったので、今度は乗り越し精算です。またまたみんなで協力して、改札を出るための切符に交換です。

ようやく改札を通過して、目的地へ。人ごみで迷子にならないように前の人のリュックにつかまって進みます。もしもの時のために、「駅があるのはB4、今から行くのは5階」と、確認してからエレベーターに乗り込みます。
エレベーターから降りると、シロクマやゴリラ達がお出迎えしてくれました。出発してから約1時間、無事に今日の目的地「Orbi横浜」に到着しました!受付で一人ずつ専用のバンドをもらって、右手首に装着。「ピッ」とかざすとゲートが開きます。秘密の空間に入るようで、子ども達もワクワク、ドキドキ。まずはじめに目に飛び込んできたのは、大きなスクリーンを泳ぐ、実物大の海の生き物の影です。「わぁ、すごーい!」と見ていた子ども達ですが、シロナガスクジラが現れた時には、その大きさに思わずびっくり!「こんなに大きいの!?」と思わず足を止めていました。

沢山の仕掛けに興味をそそられつつ、奥に進んでいくと第2のゲートに到着です。ここでは、ミーアキャットの世界が見られるということで、早速中に入りました。待ち時間も子ども達にとっては貴重な時間です。リュックからスケッチブックとクレヨンを取り出し、壁にある動物達の写真を見ながらお絵かきタイムのスタートです。オオカミを描きながら、どこに住んでいるのかな?と想像が膨らみます。

スクリーンのある部屋へ案内される前にも、いくつかのルールがありました。今日はお父様もお母様もいないので、自分達でよく聞きます。「中に入ったら、食べたり飲んだり出来ません。」という注意事項を聞いて、急いで水筒のお水を飲んでいたり、ちゃんと考えている様子が伺えました。

映画館に来た気分で、みんなで並んで座ります。カラハリ砂漠に住むミーアキャットの家族のお話「ザ・ミーアキャット」が始まりました。日本最大級のスクリーンがミーアキャット目線のカラハリ砂漠を映し出すと、まるで自分達もミーアキャットと同じ世界に迷い込んだようでした。ミーアキャットの暮らしは、いつでも危険がいっぱいです。それなので自分たちの身を守るため、いつでもチームで行動するそうです。餌を探している間も、見張り役が見晴らしの良いところに登って、敵が近づいて来るとみんなに知らせます。厳しい世界でこそ、本当に信頼できる仲間との協力が欠かせません。
そんな中、4匹のミーアキャットの子ども達は、日々、砂を掘る練習や、大好物のサソリを捕まえる練習をしながら少しずつ成長していきます。時には、興味からコブラに近づき大ピンチに!でも周りの大人たちに手助けしてもらい、どうにか切り抜けます。子ども達は迫力ある映像や音にビクビク、思わず目をそむけながらも薄目を開けて見ていたり、コブラが逃げていくと「よかった~」と安堵の表情になったり、初めての世界を味わっている様子でした。どんな世界にも子ども達が成長していく過程には共通するものを感じました。
砂を掘りやすい鋭いかぎ爪を持っていて、自分と同じ重さくらいの砂をあっという間に掘れること、サソリが大好物、でも毒針を取ってからじゃないと食べられない、耳が真っ黒だけど、形が人間とそっくり、足がとっても速い!など初めて知ったこと、感じたことを口にし合って、ミーアキャット博士になった気分でした。

長い午前中が終わって、ようやくランチタイムです。何を注文しようか?と考えながらレジに並びます。メニューが決まれば、今度はどのお金を出せば買えるかな?とみんなで相談です。トレーにのったお料理を受け取り、落とさないように、なるべく広いところを通って自分の席に向かいます。テーブルに全てのお料理がそろい、これでやっと食べられると満面の笑顔で「いただきます!」

スペシャルメニューもみんなでお味見することにしました。どうやって分ける?何等分にしよう?7等分は分けにくいから8等分がいいよ!と自然と会話が進み、それぞれの手元に分けられました。地球そっくりのハンバーガーに、世界遺産のイエローストーンをイメージしたピザ。何で出来ているのか、どんな味がするのか想像が膨らみます。緑はワカメじゃない?これはお肉だと思うよ!と言いながら一口パクリ。「おいしい!やっぱりお肉だった!チーズの味もする!」「このパンは蒸しパンみたい」と予想と比べた感想を話して大盛り上がり。もちろん自分で注文したものも綺麗に食べました。

いっぱい食べてパワーを注入した後は、自分たちが小さな虫になった気分で、虫達の世界へ。巨大なスズメバチにカマキリ、テントウムシ、オオダンゴムシが目の前に登場します。子ども達は近くにある道具を使い、手分けをしながら格闘します。普段見られない、虫たちの真正面からの顔はなかなかの迫力でした!

次は、お昼にみんなで食べたイエローストーンはどんなところか観に行きます。
みんなが絵を描いたハイイロオオカミは、実は灰色だけじゃなくて、白と黒の3種類いることが分かりました。その中でも黒のハイイロオオカミはイエローストーン国立公園にしかいないそうです。
とっても綺麗で壮大な緑あふれる公園にも、季節は巡り過酷な冬がやってきます。そんな冬を乗り切るための動物たちの過ごし方は様々。オオカミは仲間と協力して狩りをします。自分より数倍大きなワピチをチームワークで仕留めるそうです。一方で、きつねは単独で狩りをします。同じ狩りをする動物にも種類は色々です。
川が凍って、大好きな魚が食べられないカワウソも一列に雪の上を移動します。どこかに凍らない川があって、カワウソたちはその場所がちゃんと分かるのだそうです。
バイソンは雪の下に埋まってしまう草を求めて、一日に200㎞も移動します。
そうして、それぞれの動物たちが、必死に日々過ごしているうちにだんだんと雪が溶け、一面真っ白だった大地にまた色が戻ってきます。動物たちの表情も、どこか穏やかでホッとしたように感じられました。子ども達も「ここをさっき食べちゃったんだね」と話しながら、人間の力の及ばない大自然の美しさと、そこに生きる動物たちの姿に圧倒されたようでした。

最後は、アフリカゾウの群れと一緒に、水を求めて長い長い旅に出ました。砂嵐や突然の雨に雷と、変わりやすい気候にも負けず歩き続けます。ドシン、ドシンと地面に伝わる振動を感じると、本当に群れの一員になった気分でした。ようやく目的地に到着して、ゾウたちの楽しい水浴び時間です。川を泳いで渡ったときには、ゾウって泳げるんだね!とまたまた新発見です。普段は優しいアフリカゾウですが、子どもに危険が迫ると、性格が豹変!とても近くにいることが出来ず、旅もおしまいです。親が子どもを想う強い気持ちは同じですね。

好奇心をくすぐられる空間で過ごす楽しい時間はあっという間で、そろそろ帰る時間です。来たときの道順を思い出しながら切符を買って、乗換をして、と6人で協力する姿は、行きに比べてとても頼もしく見えました。誰にも言われなくても、移動の時は6人いるか確認し、傘など忘れていないか声を掛け合ったり、ほかの人の迷惑にならないように気を付けたりと沢山のアンテナを張り巡らせて、自分の頭で考えることで沢山の気づきがあったようです。

初めてづくしの小さな冒険を終え、子ども達の中にどんな種がまかれたのかな?それとも何か小さな芽が芽吹いたかな?と想像すると、その広がる可能性にワクワクします。

磯邊季里 @ 2015年07月10日 22:31 コメント: (0)

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