<こひつじかい>2泊3日DAY CAMP-②

2015年8月31日

2日目(8月20日)
曇天の朝、6時過ぎにもぞもぞと寝袋が動き始めました。子ども達の予定では5時起床6時出発でしたが、昨日の疲れをしっかりと取るためか、ぐっすり眠ってしまいました。
早速、自分達の寝床を片付けます。子どもにとって寝袋を袋にしまうことは、とても大変な作業です。心地よく眠れるふわふわな寝袋であればあるほど、小さな袋に入れる為には考え、工夫して、指先、手、腕を使わなくてはできません。今日のお天気のように、子ども達の顔もこの作業でかなり雲ゆきがあやしくなりました。子ども達の涙と同じように空からも雨粒が落ちてきました。
約1時間の葛藤の末やっとのことで出発です。寝袋を早く片付けられた子は、家事を分担します。朝ご飯の準備でお出汁を取ったりお米を研いだりします。他にも昨日干した体操服を取り込み、昨日着たお洋服やお寝間着の洗濯と洗濯物干しをします。お日様が出ているときならすぐに乾いてしまう洗濯物も、今日は時間がかかりそう。今晩寝るまでに乾くためにはどのように干したらよいか、これまた工夫が必要で、家事ひとつにも知恵をしぼらなくてはいけません。子ども達の会話を聞いていると、この知恵の出し合いもクイズやゲームをしているようです。

体操服に汗拭きタオル、縄跳びを片手に持って車に乗り込みます。女の子達は車の中での新しい遊びを発見したらしく、乗りたい車まで一目散に走っていきました。おっとりとした男の子チームは、きょとんとしながらもニコニコと市場に行く楽しみを身体で表現していました。さあ世田谷市場に向けて出発!早い時間に家を出ると道路もすいていますが、予定が遅れて道は込み始めていました。ここでもいろいろと学びます。同じ目的地に行くのにも、渋滞などによってかかる時間が違うこと。最短時間で行くためには、同じ時間を大切に使うためには、どうしたらよいかみんなで意見を出し合いました。これも経験です。実際に起こった出来事があるからこそ、子ども達はそこで考えるのです。最後には「満員電車に乗らないようにするには・・・・?」なんて応用問題までも飛び出しました。
世田谷市場に着いたらまずは生花市場に行きました。市場の朝は早く、5時には仕入れをする花屋さんでごった返すのですが、今日のこの時間になると少し落ち着き、市場の方々も笑顔で迎えてくださり、子ども達にとっては不幸中の幸いです。子ども達は初めて踏み入れる市場に興味津々。お花を見る前に、競り落とされた花を載せるワゴンに乗ってみたり、山積みされた空箱と背比べをしたり、すべてが楽しい遊びのようです。それぞれの花屋さん毎にお花の並べ方や売り方が違います。色分けして売られている市場、お花の種類毎に分けて並べている市場・・・これぞ、みんながよくやっている仲間分けや、同図形発見です。いつも見るお花屋さんと違い、たくさんの種類があるのにはみな驚きます。将来の夢がお花屋さんというお友達は、じっくりと様子を観察していました。

市場には、お花の他にお花に関連した商品を売っているお店もたくさんありました。私は教材をここで買うことがあります。ロールに巻いてある紙やかごなどを見て「いそべっちが持っている物売っているよ!」子どもは、自分達が使っている物、自分達の身近にある物をよく見ているのだな!と感心しました。
市場では季節が巡るのも少し早く、すでに秋の七草、お月見や敬老の日関連の商品が並んでいました。でも子ども達は大好きな夏の花、ひまわりを仕入れます。大きなひまわりはすでに終わってしまいましたが、いろいろな色のひまわりがあることも楽しい発見でした。ひめひまわり、フレッシュパイン、フレッシュマンゴなどなど、「名前だけ聞いたらたべたくなっちゃうな!」と言う子ども達のお腹が鳴っていました。

車のトランクいっぱいにお花を仕入れました。場内はお天気は関係がありませんが、駐車場に来るとあいにくの雨。雨だから公園に行けない!という声をよそに里紗先生の体操がスタートしました。すでに市場は終わりに近付いていて、車もほとんどなく、幸いにも(?)パーキングのラインがたくさんひかれた 空間ができたので、走ったり指示行動をしたり、いつもと変わらない体操をすることができました。

今度は青果市場です。「またせいかいちば?」と子ども達は花の市場を生花市場と覚えたばかりだったので混乱気味です。車をとめると、見たことのない変わった乗り物に遭遇。好奇心旺盛な子ども達は早速乗ってみたくなりました。大きな大きなハンドルがあったり、何をする乗り物なのか?いろいろな意見が出ましたが、答えはあとのお楽しみです。ドーム型になっている市場に来て、「ここはお花の市場じゃない!」に気が付きました。たくさん積み上げられた箱には、お野菜の絵や地図(~産)など、中に何が入っているかのヒントが描かれていました。答えを言ってはそっと隙間から中身を確かめたり、匂いをかいでみたり、五感をフルに使います。その姿はまるで子犬のようで愛らしいと、青果市場の方々も目を細めてお仕事をされていました。そんな時、子ども達に「これあげるよ!おいしいよ!」という声が聞こえ、その声の先には袋詰めされたレタスがありました。子ども達はすぐに駆け寄って、それぞれがレタスの袋を片手に大喜びです。子ども達の様子を見ていた市場のおじさんが、人数分の新鮮なレタスを袋詰めにしてプレゼントしてくださいました。

ぐるーっと見ると、それぞれのお店に特徴があるのが分かります。そして、さっきの乗り物の使い方も。
たくさんの箱を運ぶリフトカー、そのリフトカーにも用途によって色々な種類があることなども知りました。
今日は、スイカを買う予定でした。みんなでどれがおいしいかな!なんて探していると、「今年は急に涼しくなってしまったので、ここにある大玉スイカは全部予約分なんだよ!」。とても残念でしたが、いただいたレタスを片手に市場を後にしました。

車の中ではもう限界、お腹がすいたので一口レタスをつまんでみると・・・・・なんと美味しいのでしょう。甘い!瑞々しい!などとつまみ食いが始まりました。
雨はなかなかやみません。帰りがけにスーパーに立ち寄り、夜ご飯の買い出しを済ませることにしました。いつもは必要な売り場だけに行きますが、今日は入口の花屋さんも、中の青果売り場も気になります。必要な物をそれぞれの子どもに伝えましたが、なかなかたどり着きません。じっくりゆっくり、野菜や果物を見ている子ども達の眼差しは真剣そのものでした。ここにも大玉スイカは並んでいません。仕方なく、子ども達のお顔の大きさと同じくらいの小玉スイカをゲットしました。夏も終わりに近づくと、夏の象徴である大きなひまわりも大きなスイカも来年までお預けのようです。鮮魚売り場でアサリを買ったり、牛乳やチーズは何売り場?など考えながら、お買い物を終えました。

家に着き、お腹がすいた!お腹がすいた!と言いながら着替えをして、お食事の準備に取り掛かります。お腹がすいた分とてもてきぱきと連係プレーでテーブルセッティングをしたり、お味噌汁を作ったり卵の準備をしたり、やることはたくさんありますが、力を合わせてファインプレーです。
和食なので、和のテイストでまとめました。腹ペコの子ども達も気のせいかおしとやかに?みんなで一緒のお食事は格別、食も進みます。今回は、「大豆でできているもの」を意識して、お味噌汁には油揚げとお豆腐。お味噌は何から?お醤油は何から?など、関連付けてみました。なんだかこんな風にして食卓を演出するのは楽しく、メニューを考えるのもわくわくします。今年の年長さんは食べるのが大好き!どのお皿もきれいにいただきます。そして食卓はいつも笑顔いっぱいで楽しい会話が弾んでいます。栄養のことなどがまだあまりわからない子どもでも、「緑や赤いものがあると、身体がぴちぴちするみたい!」「茶色い物は土みたいだから、木が太く茂るみたいに土から栄養を身体にもらえるのかも!」なんて、自然に栄養のことも感じ学んでいます。

たくさん体験してきたあとは、今度は、ワークタイム。物知りになったお野菜や果物のこと、たくさん詰め込んだ頭の引き出しを少し整理します。楽しくて興味津々で、いっぱい飛び込んできた知識も、しっかりと確認して整理整頓しておかないと、使いたいときに「何だっけ?」とどこかに紛れ込んでしまいます。自分の目で見たものだから、忘れないうちに絵でも表現してみます。いつもならワークだけに集中するのですが、今はそういうわけにはいきません。夜のデザートも作らなくてはいけないし、小腹がすいた時のおやつだって作らなくてはいけません。チームにわかれて、それぞれが時間を上手に使い、作業に取り組みます。先生がそばにいなくたって、やらなくてはいけないことを自分の力で頑張ってみることも、お友達がいるからこそできるのです。
デザートは、やっとのことで手に入った小玉スイカ丸ごと全部を使ってゼリーを作ります。スイカの実の部分をくり抜き、皮は器にします。くり抜いたスイカはジューサーにかけ、こして種をとって丁寧にスイカのジュースを作りました。真っ赤な果汁はなんだかトマトジュースみたい。とても鮮やかな色でした。くり抜く時は皮に穴があかないよう注意が必要で、濾す時もゆっくりやらないとシートがやぶれてしまったり、やってみたからこその発見がたくさんありました。

おやつはBBQできれいにいただいたトウモロコシで、今度はポップコーンを作ってみます。同じトウモロコシなのに、ポップコーンのコーンはかちんこちん。コーンはコーンでも不思議です。電子レンジではじける音をきいたり、ぷーんとする匂いをかいだり、袋の折り目を開けるとまるで玉手箱から出てくるような煙がもくもく。熱い熱いポップコーンはあまりにも美味しくてあっという間に平らげてしまいました。

子ども達は、いろいろな作業をしていても外の様子がとても気になります。窓から手を出して雨を確かめたり、やっぱりお外に行きたくて仕方がありません。おやつもいただき一段落をしたので、頭にはちまきをし、縄跳びを持ち、元気よく外に飛び出しました。嬉しくて足も軽やかです。せせらぎ公園までひとっ走り。雨上がり、セミは夕方でもまだまだ元気に鳴いています。たくさんの木が生い茂ったなかで、公園探索。鳥の巣を見つけたり、小川を覗いてみたり。アキアカネも飛び始めていました。
公園の片隅に、かかしを発見。そこにはちいさな小さな田んぼがあり、稲が青々実っていました。それを見た子ども達は自分達の田んぼのことを思い出し、少し気になりました。「僕たちの稲もかかしが守ってくれているかな?」「かかしを作らなくって大丈夫かな?」と。かかしを見て、みんなでかかしの真似をしてみました。しっかりお食事したくさん運動する子ども達ですから、バランスもとても上手。かかしに負けていません。朝はできなかった縄跳びも、少し暗くなってきても皆が記録に挑戦します。自分の記録に挑戦して喜ぶのはもちろん、お友達が一生懸命に頑張って記録を伸ばしたことを本当にうれしそうに報告してくれました。

思いっきり遊んで帰ってきた後もゆっくりできず、うちわであおぎながら、夜ご飯の準備に取り掛かりました。うどんづくりは、正確に分量を量らなくてはいけません。量るものも、材料によって計量カップを使ったり、大匙を使ったり、はかりを使ったりと道具が違うことにもびっくりです。大人には当たり前のことでも、子ども達にとっては不思議なことだらけ。美味しいうどんになるためには茹で加減も大切だということも、時間を頼りにするだけではなく、食べてみた自分の感覚でも確かめました。

色とりどりのパプリカも切ります。誰かが細かくさいの目切りにしている間に、切断面の絵を描いてみました。お見事!描かれたパプリカのどれもが、なんだかこれからお料理されるような生き生きとした仕上がりでした。斑尾の畑で描いたズッキーニでグラタンを作ります。スイカに続いてズッキーニも、中をくり抜きます。外の皮は硬いけれど、スプーンで穿り出す中身は柔らかかったです。底に穴をあけてしまうと中身がこぼれてしまうので、丁寧に丁寧に作業します。簡単にできる子もいれば大汗をかきながらやっている子もいますが、それぞれがとてもうれしそうに作っています。グラタンの中身は、ズッキーニと玉ねぎをしっかりいためて、ペシャメールソースでからめます。ズキーニの器に中身を戻し、チーズを上にのせ、オーブンで焼きました。お食事の時には、ふたも器も丸ごとぺろりと食べてしまう子もいました。一工夫すると、なんでも無駄にならないことも学びました。お料理には炒めたり、茹でたり、焼いたり、色々な方法があります。切り方だってさいのめ切り、千切り、みじん切り・・・。言葉探しをしてお料理するのは本当におもしろいと、子ども達は大喜びです。ワークをした道具もきちんと片付けて、お部屋をお食事のできるレストランのように変身させてくれました。

やりたいことがいっぱいで、いっぱいやっていると、時間もどんどん過ぎていきます。今日は予定が朝から少しずつ遅れてしまって、お夕食も7時過ぎになってしまいましたが、一生懸命にみんなで動いて頑張った分、この遅れは帳消しかな?と感じました。うどん屋さんのように薬味を用意したり、お出汁で作った麺つゆを入れたりして一人一人のざるうどんが完成しました。もちもちのおうどんを食べている顔はとても自慢たっぷりでしたし、うれしそうでした。丹精込めて作った丸ごとスイカゼリーも見事に出来上がり、本物のスイカを切るように切り分け、かぶりつきました。写真で見ると、まるで普通のスイカを切ったみたいです!子ども達の美味しい笑顔の写真が撮れました。

たくさん頑張った一日の疲れと汗を、お友達どうし背中を洗いっこをして取りました。寝袋の準備だって、昨日とはわけが違います。あっという間に寝床ができて、すっきりした後は、すぐにミノムシみたいにもぐりこみました。気が付けば、一人、また一人と夢の中へ・・・あっという間にすやすやと寝息が聞こえてきました。
本当にたくさん、たくさんお仕事をして、小さい身体で思いっきり頑張った一日でした。

磯邊季里 @ 2015年08月31日 18:40 コメント: (0)

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