<玉川テラス>子育てセミナー「あと伸びする子を育てる」

2015年9月15日

今回は小さなお子さんもご一緒に参加されることもあって、昨晩からの雨が心配でしたが、セミナーがはじまる少し前に雨はやんでくれました。幸先の良い、玉川テラス子育てセミナーのはじまりです。いつもならお母様方がセミナーを受けている間、子ども達は玉川高島屋の屋上庭園で楽しむところですが、今日はセミナーの隣のお部屋でパターンブロックをすることになりました。隣から子ども達の楽しそうな声が聞こえてくるなかで(時々「しーっ、静かに!」なんていう声も!)何か子育てのヒントになる言葉をキャッチして帰っていただきたいと思いました。
受験と言うハードルをこえるためには、親がいろいろと考えなければならないことがあります。例えば願書を書くときに、「明るく元気な子」という表現だけでは個性が伝わりません。自分の子どもはどんな子なのだろう?と考えること、それは子育てにとってとても良いことなのです。ところでこの「書く」ということ、日ごろ少なくなっていませんか?メモ書きからはじめるのでも良いので、一日の予定や目標など、ちょっとしたことから書く習慣を持つようにおすすめしています。書くことで頭の中が整理され、意識が変わるものです。普段から書くことに慣れていれば、願書を書くときにもずいぶんと気が楽になるでしょう。今朝のように曇天で気が晴れない朝も、お天気は変えられなくても気は持ちよう。「こんなふうに過ごそう」とお母様が書いて過ごせば、ご家族にとっても良い流れが生まれるでしょう。また、親が書く習慣を持っていれば、子どもにも伝わります。学校で連絡事項を書くときに、ただ板書を写すだけの子どもと書く意識を持った子どもではメモの取り方がかわってくるでしょう。

今日の本題「あと伸びする子を育てる」に入る前に、お母様方の日常を振り返ってみましょう。自分の時間がない、子育てに自信がもてない、夫が協力してくれない、他の子と比較してしまう・・・等々、心のどこかにいろいろな気持ちがあるのかもしれませんが、大体のことは自分で気持ちをどう処理していくかで解決できると言えます。他人を責めても余計にイライラしますし、子どものことで比較をしても前向きな答えは出ないでしょう。より良い自分になるためにどのようにモチベーションをあげていくかという方向で考えるように、心の器を育てましょう。子どもためには、成長を後押しできるようなより良い環境を作れるように考えましょう。子育ても学習です。親も試行錯誤しながら、辛抱強くなることで叶うことはたくさんあります。

こひつじかいでは今年、「樹」をテーマに活動しています。同じ種類の樹でも枝ぶりなど一本ずつ違います。人間も同じで、双子であっても違う個性をもっています。お母様が子どもの人格をしっかり把握することが大切です。そのためにも、子どもにあれこれやらせるより、シンプルなことを繰り返しましょう。たとえば今日は隣のお部屋にはパターンブロックしかありませんが、子ども達は誰も飽きることなく2時間夢中で遊び続けます。また、先日行った年長さんのデイキャンプで、食事の支度や洗濯など家事をやらせてみると、大人とは違う発想の子どもらしい言葉がたくさん聞こえてきました。同じ条件で洗濯物を干していても、乾く速さに違いがあると気付いたとき、それは素材の違いによるものですが、「乾きが遅いのはもっと干されていたいからでは?」といった意見がでたのです。正解を求めるのではなく、子どもらしい言葉が発せられることで言葉遊びに発展したり、子どもに言葉を教えてあげるきっかけが生活の中にあることを大切にしてほしいと思います。
さて、「あと伸びする力」とは何でしょう?自立心、探究心が大きく関わります。子どもは2~3歳にもなるとできることが増え、自分でやりたいという気持ちが高まりまが、親の都合でこの気持ちを活かされていないことが多いと感じています。すぐにうまくできなくても、子どもが「またやってみたい!」と思うことがとても大切です。探究心についても、子どもは「なぜ?」といつもたずねるもの。「あいうえお」や「ABC」を教えるよりも、子どもの興味のあることを突き詰めていく方が大切だと思います。そのなかでうまれる「なぜ?」にとことん付き合い、育ててあげてください。こういった子どもとの関わりを幼稚園入園までにたくさん持ちましょう。先取りの知識は、入園・入学してから先生のお話を聞く姿勢に悪い影響を与えかねません。「自分はもう知っている」という気持ちが授業中の集中力を妨げ、先生との大切な対話が成り立たなくなります。

先取りの知識よりも、生活のことがしっかりできる子になるほうが大切です。自立心、探究心に加え、人間関係を築き共に楽しめる力、これもとても大事です。ロバート・フルガムの著書に『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』というものがあります。
子どもがお友達のことを叩いてしまうことがあるかもしれません。親ははらはらするでしょうが、子どもにとってはそれもコミュニケーションを学ぶ一つなのです。心配だからと常に親が先回りせずに、半歩先くらいで見守る勇気を持ってください。そして、子どもの様々な面を知ることができる機会になるという意味でも、何をするにも土台となるような感性を豊かに育むことができるという意味でも、自然との触れ合い・体験学習を大切にしてください。頭でっかちの知能では、決してあと伸びしないと言えます。秋になれば聞かれる言葉の食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、この4つは子どもにとってすべて大切な項目ですが、好きなものが一つあれば、それを伸ばせば後は付いてくるものです。優等生でなくてよいので、バランスよくできるように導いていきましょう。
秋は幼稚園・小学校受験の季節です。受験を目前に控え落ち着かなくなっているお母様もいらっしゃるでしょう。年中さんのお母様は、本番まであと一年ということに焦りを感じるかもしれません。「幼稚園・学校の求める子ども」とはどんな子どもでしょうか?実は今日お話した「あと伸びする子」と共通しているのです。生きる力を持っていて、楽しく生活できる子ども。先生が教えてくださることに意欲的に取り組める子ども。自力で歩め、自分で考え、我慢ができる子ども。きちんとした生活習慣が不可欠です。小さなころから丁寧に繰り返していくしかないのです。それぞれの学校の教育方針をよく確認し、ご家庭の考えと合致する学校選びをすることも大切です。ただ有名な学校だからという理由ではいけません。教育方針が合わない学校に入学し、親が学校に疑問を持っていては子どもも戸惑い、伸びなくなってしまいます。親が学校を愛し、先生のお話をよく聴け、親子で一緒に学んでいけることがベストです。
子育てで大切なことを話して参りましたが、最後に「子どもは気まぐれなもの」ということを付け加えておきましょう。お母様方がいろいろ工夫してやってみても、期待通りに子どもが反応しないこともあるでしょう。そんなときは「子どもは気まぐれ」と思うことで気持ちを楽にしてください。これが半歩先で待つ教育のカギとなります。小学校3年生までは子どもにとってお母様の影響が何よりも大きいものです。ぜひ、子どもと一緒に学びながら歩んでいってほしいと願っています。

磯邊季里 @ 2015年09月15日 13:41 コメント: (0)

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