<バンコク> ドラえもん DAY CAMP

2015年9月16日

9月13日(日)朝8時、エムポリウムにバンコクの子ども達の元気な声がこだましています。リュックサックを背負った子ども達がお父様お母様と一緒に私を出迎えてくれました。普段は私が子ども達を迎えるのですが、バンコク到着時間の都合でいつもとは逆になりました。久しぶりに会う子ども達はすっかりお兄様お姉様になっていて、嬉しそうにそばに寄って来てくれました。私はまるでいつも一緒にいるような錯覚さえ覚えました。

恒例のお母様方へのハグをしたあと、2台のスクールバスに別れて乗り込みました。今日はプチ遠足!チャトチャックにある交通公園に出かけます。歓迎ムードの車中では子ども達が歌を披露してくれたりバンコクのことを教えてくれたりしました。バス通学が多い場所がら、子ども達は車中の過ごし方もお手の物。ここが私の学校、ここが私のお家と地図が頭に入っていて、バスからの車窓をしっかり楽しんでいるのにはびっくりしました。
朝早いので渋滞もなく約20分で目的地につきました。ここには大きな市場もあり、新鮮な野菜や珍しい果物に遭遇できるので、私の大好きな場所です。自転車に乗れる交通公園があることは知りつつもなかなか来れずにいたので(しかも子ども達と一緒!)今日は本当に楽しみです。バンコク在住でも郊外の公園へはなかなか行き難いようで、はじめてくる子どもも沢山いました。

お友達と来る公園は、子ども達にとって最高です。バスを降りると、待ちきれずに走り出す子、早速虫探しをする子と、笑顔がはじけます。ゲートを入ると目の前には緑の街路樹がずっと続きます。子ども達がリュックサックを背負って歌を口ずさみ、お友達とじゃれながら歩く光景が公園に吸い込まれていく感じ。又、このような光景が珍しいのか、タイ人の家族が寄ってきてにこやかに声をかけてくださいました。とてもとても雄大な公園の眩しいほどの緑のなか、お池の水面に太陽の光がキラキラと子ども達を歓迎してくれていたので、お池のそばにドラえもん基地を作りました。みんなで協力をして、大きな大きなシートを敷きます。日本でのキャンプや遠足にも参加した事のあるゆうき、かずまがリーダーになってくれ、皆を引っ張っていってくれます。リーダーになることは、小さいながらに責任がある!ということを知っています。日本では大学生リーダーは勿論ですが、小学生リーダーがとても活躍していて、その姿が眩しいのも知っています。言葉で教えなくても、体験・経験する事から学ぶ事は、力になります。
基地が出来たら、まずは準備体操を兼ねて基地の周りを散策マラソンです。沢山の方がランニングやサイクリングで風を感じ、緑の香りを楽しみ、公園を満喫しています。子ども達以上に私の方がこの素晴らしい環境にワクワクし、何があるのかな?どんなふうに遊ぶ時間が繰り広げられるのかと想像すると、走る足も軽やかになります。お花の木のトンネルを通ってみたり、根っこの上を歩いてみたり、スペシャルな事ではなくても全てが新鮮です。

今年は「木」をテーマに子ども達と楽しんでいますが、「この木なんの木」という木が続きます。さすが南国、お花の色も鮮やかで、咲き乱れています。公園の過ごし方は様々です。タイ人が子ども連れでシートを敷いて朝ごはんを楽しんでいる姿は多く見られましたが、卒業写真を撮るためにガウンを着ている方、お年寄りの太極拳をするグループ、高校生のトレーニングをするグループなどもいました。とは言え暑いバンコク、こんなにきれいな公園なのに、ここを楽しんでいる方は少ないんだなあと改めて感じました。
子ども達は準備体操をすませ、基本であるスキップ、ギャロップなどを丁寧にしたら次はかけっこです。子どもは3人ずつ走ることが簡単にできません。順番を守って自分が誰の後に走るのかなど、簡単な事なのですが、あまりこちらでは習慣がないのと、幼稚園などではきっと先生方が丁寧に導いてくださるのでしょう、自分で考えてルールを覚えてやる事がなかなか出来ませんでした。でも何度も何度も繰り返していくうちに、何をしなくてはいけないかがわかってきます。大人と違うので何度も何度も繰り返す事が必要です。
体操も2回くらいではまったくわかりません。でもそれを倍・倍でやっていけば、なるほど!そういうことね!と出来てきます。指導者は、子どもに徹底的に付き合わなければいけません。小さい時にこのように覚えた事はしっかりと子ども達の中に蓄えられていきます。すぐには結果は出ないかもしれませんが、このようにまかれた種は、きっと少しずつ芽吹き、そのうちにしっかり根をはって行くと思います。

リレーもはじめは上手くいきませんが、何回もやりたい!という声で何回もやっていると、最後には皆の顔つきさえ変わります。もっとやりたい!という気持ちを持ってくれたことが向上心につながります。ラダーではひよこ歩き、ゴリラ歩き、子ども達はまるでその動物に変身したかのように一生懸命に取り組みます。ドラえもんの道具に「どろん葉」というものがありますが、落ちていた葉っぱを頭につけて、「どろん葉」と掛け声をかければ、皆なりきっています。その眼の真剣な事!
ちょっと疲れたので、芝生の上にごろりん。最初はちくちくするからできない!と言っていた子もこわごわやってみると、なんと気持ちがよいのでしょう。寝っころがって見るお空の広いこと。お空に浮かぶもくもく雲は、なんだかおいしそうに見えます。
時刻はまだ9時半ですが、たくさん動いてよい汗を流したので、おなかがグーグー鳴ってきました。この短い時間ですが、いつもの倍くらい身体を動かしているので、きっと子ども達の気分としてはお昼時間なのでしょう。日本でも朝7時の体操の後は、皆の大好きなパンタイムで、その食べっぷりはすごいです。身体をたっぷり動かすからこそ、いただくパンは最高です。そして仲間といただくから、尚更です。勿論今日も大好きなパンタイムがあります。子ども達は木陰でヤクルトを飲んだり、マフインをいただいたり、会話も弾みます。こんなに美味しいマフィン始めて!美味しい!の連発です。何も特別な食べ物ではありませんが、自然の中で、美味しい空気を吸って、風がそよぐ木陰で・・・環境がばっちり揃ったおかげです。
色々なところにお池が点在していて、お池遊びも気に入っています。もしかしたらワニがいるかも!なんて言いながら、小枝や葉っぱを入れてみたり、これは浮くかな?大きくて太いから沈むよ!と予想を立てながら、浮き沈みの実験をします。木は浮く、葉っぱは勿論、貝も!と思いきや、貝は沈むものと浮くものがありました。色々な不思議がいっぱいです。
皆は宝物探しの名人。色々な所から貝殻、木の枝、木の実、様々なものを探してきては、うれしそうに駆け寄り教えてくれます。私も見たことのない実を見たり、何でここに沢山貝殻があるのかな?と子どもと共に考えました。葉っぱだって大きいもの、小さいもの、そしてまだ落ちたての緑のもの、からからに乾燥したものと色々です。
しばらく歩くと『バタフライ館』がありました。子ども達がワクワクして入ってみると、植物園みたいな密林の沢山の青虫達がお出迎えしてくれました。青虫だって色々な色の色々な模様の洋服をまとっています。もぐもぐ葉っぱを食べていて、大好きな『はらべこあお虫』のお話を思わず思い出してしまいました。「食べ過ぎるとおなか痛くなるよ!」なんて声をかけている優しいお友達もいました。

日本と違ってこの公園のなかには沢山の種類の蝶が楽しそうにダンスをしています。あちこちに蜜のごちそうがしかけられていて、とまって美味しそうに蜜を吸っている姿も見ることができました。中にいると、だんだん自分達も蝶になった気分になります。手を動かしてひらひら飛んでいる姿、蜜を吸っていたり、花にとまっているのを真似しています。
どの蝶もかわいらしく、間近で本物を観察することがこんなに子ども達を生き生きさせるのだとうれしくなりました。いつまでもいたい場所ですが、次の目的地に出発。子ども達は紙皿を1枚持っています。紙皿は広い芝生ではフリスビーに、おやつのときにはお皿に、そして今は森で探した宝物がいっぱいのっています。紙皿なので、折るとバッグのようにもなるし、便利です。教えてあげなくても、落ちないようにするには?簡単に運ぶには?などなど、工夫をしています。つい先回りをして教えたくなってしまう事もありますが、少し待ってあげるとこんな素敵なアイデアを出しはじめます。子ども達のひらめきはすごいな!
お砂場エリアでは、ロッククライミング、うんてい、などなど挑戦することがたくさんありました、最初は助けを求める子ども達もお友達の様子を見ては、やってみよう!やってみたい!という気持ちが芽生え、チャレンジャーになっていました。お友達と一緒だからこそ背中を押してもらえるのでしょう。
公園をほとんど一周した最後には、長い長い平均台です。少し高さもあります。足もすくみます。最初は手を添えてあげていましたが、身体でバランスをとれるようになり、調子もでてきます。下を向き、一歩一歩をゆっくり進んでいた子も、最後のほうにはしっかり遠くを見て最後のジャンプもきれいに着地できました。身の回りには沢山身体を動かす事が出来る材料が転がっています。便利な道具に頼らずにシンプルな遊びをもっと出来るといいなと思います。

やっと自分たちの基地に戻ってきました。もうおなかがペコペコですが、その前に沢山の楽しい!を絵に表す事にしました。沢山の木、ドラえもんの道具、沢山のお友達・・・自分が楽しいと感じた事を表現してみました。どの子の絵も愛嬌たっぷり。描き終わるとうれしそうに自慢して見せてくれました。
お待たせしました!えりコーチが、大きな袋でお弁当を持ってきてくださいました。今日のお弁当は本当なら私が子ども達に日本弁当を作ってあげたかったのですが、時間がとれず、友人が心をこめて作ってくださいました。ソイ12にあるブラウンアイズのくみさんが、子ども達のために愛情たっぷりのおにぎり、たまごやき、肉団子などなど、子ども達の大好きなものを入れてくださいました。暑い国なので朝から持ち歩くことを避け、丁度良いお昼にデリバリーまでしてくださいました。本当に子ども達のことを考えて支えてくださる方がいるからこそ、このようなキャンプが実現できます。お弁当を渡すのも、お隣へ、お隣へ・・・と声をかけながらお友達は渡しますが、3つもお弁当がある子や、1つもない子がいます。簡単な事ですが一人一人にお弁当が渡るまでにも時間はかかりました。きっと子ども達は待て!をされている気持ちでいたことでしょうが、待った分いただきます!の声ははずんでいますし、ふたを開けると皆が夢中にほおばります。シンプルな日本弁当ですが、満面の笑顔の美味しい顔は、素敵でした。大きなおにぎりだったのですが、完食の子がいっぱい。あっという間に平らげました。私はおにぎりは苦手!と言っていたお友達も、頑張って食べていました、するとその子は素敵な魔法にでもかかったかのようにパワーが出て、自信に満ちてお話をしたり、工作なども力いっぱい取り組んでいました。食生活、食育、育ち盛りの年齢の子どもにはとっても大切なことです。

お弁当の終わった子ども達は、ラダーを使って電車ごっこをしたり、竹とんぼに挑戦したり、思いっきり遊びました。昼のこの時間になるとこの広い芝生は貸切です。日差しが強いとはいえ、木陰に入ると風が通る気持ちのよい昼下がりでした。

バスにゆられ、TOY BOXESに向かいます。普段は長時間外遊びをしないバンコクの子ども達、車中はきっとどこでもドアで夢の世界へ!かな・・・と思いきや、お弁当パワーが出たのかまだまだ元気です。女の子達はごっこ遊びです。男の子達は車に興味があり、車窓から見たの車のことや、町の事を色々教えてくれます。日曜日とはいえ、朝とは違い多少の渋滞もありましたが、バスの中で歌ったり、しりとりをして楽しめました。日本の幼稚園に通っている子ども達は、日本の童謡をよく知っていました。離れているからこそ、幼稚園でも日本の文化を取り入れてくださっているのを感じました。
さあ、お待ちかねのパターンブロックタイム。まずは皆でマットを敷いてブロック基地を作ります。ここでのブロック作りは皆慣れたもの。沢山のブロックを思い思いに作っていきます。テーマは『ドラえもんの道具』。高く積み上げてどこでも階段!どこでもトンネル!そしてきれいに敷き詰めてできた、虫ロボットなどなど、素敵なものが所狭しと出来上がりました。

次は工作タイム!今日のお弁当を再現します。みんなはお弁当屋さんに変身してお弁当箱作りからはじめます。ドラえもん弁当にするために、箱にドラえもんの絵を描きます。お約束は「どんな色のドラえもんでもかまいません。どんな事をしているドラえもんでもかまいません。でも、お顔だけでなく、ドラえもんの身体まで描いてください!。早く出来た人は、ドラえもんの秘密の道具も描いてくださいね」。こんな簡単な指示工作ですが、なかなかむずかしい!やはりドラえもんは青と思っているので、他の色で描くことは思いつかないのかもしれませんね。まだまだ沢山の引き出しに色々な知識を入れていくこの時期。ただただ教え込むのではなく、頭を柔らかく色々なイメージや考え方を持って、子どもと接してあげたいなとつくづく思いました。勿論、正しい知識を教えてあげる事は前提ですが。

お弁当の中身も作ります。トイレットペーパーをちぎったり、花紙をまるめたり、美味しくいただけたぶん子ども達の記憶もとても鮮明です。いつもなら作りやすいように色もそろえますが、今日は決まった色しかありません。足りない色をどのように作り出すかも一工夫。頭をフルに使って考えます。もし茶色の紙がなかったら?どの花紙とどの花紙をあわせたら、ミートボールの色ができるでしょうか?何でもそろってしまう現代だからこそ、あえて不自由の環境もつくらなければいけません。
さあ待ちに待った、どらやきつくり!和コーチはどろん葉を使って和菓子職人に変身。いつもはブロックや工作をする机もキッチンに変身しました。子ども達もエプロンをつけ、職人さんへ。火を使うので、お約束もあります。危険な事もたくさんありますが、お約束をしっかり守っていれば、危なくありません。よくお話を聴いて行動が出来るようになれば、多くのことに楽しくチャレンジ出来ます。
グループにわかれたら材料の説明をうかがって、材料を量っていきます。大人がやれば簡単な事。でも子ども達にとっては大変です。それも一人ではなく、お友達と協力しなければいけません。ゆっくりやっていたつもりでもお砂糖がこぼれてしまったり、粉で手が狼の手のように白くなってしまったり・・・。何でも簡単にはいかないことを経験するのです。失敗しても次につながり、工夫を生みます。お母様方、毎日の生活でこのような大切な機会を是非たくさん作ってあげてください。時間はかかるようですが、これこそが「急がば回れ!」の精神です。この経験を沢山持っている子どもこそ、生きる力を持ち、将来の自分の夢に向かって走れるようになるでしょう。

いよいよ材料を混ぜ合わせて、ドラ焼きの生地が出来上がりました。フライパンにじゅじゅと音がするのを確かめます。熱過ぎてもぬるくてもできません。職人・和コーチが長年の勘で焼きはじめます。ここでちょっと秘密です。この生地の配合は、日本の老舗「うさぎや」さんのもの。和コーチのお父様が修行され、そして和菓子店をされていたので、和コーチは幼い頃からお父様の背中を見て覚えたそうです。たまたま「うさぎや」さんは私もとても馴染みのあるお店だったので、この奇遇に驚きました。

そんなこんなで、4つのフライパンはフル稼働。生地にふつふつ穴が開き始めると、火傷をしないようにフライ返しを片手にひっくり返します。、まあるくきれいに焼けていても、ひっくり返すのもなかなか和コーチのようにはいきません。何事も修行です。餡は和コーチが朝早く作ってきてくださいました。餡を作るのも、じっくり手間をかけなけばいけません。餡はどんなお豆でできている?と聞くと子ども達は「あんこまめ!」なんて。一生懸命考えての答えですが、今はお赤飯なども市販のものが簡単に手に入るので、小豆に馴染みが少なくなっているのだと思います。
沢山のドラ焼きの山が出来、お部屋の中が甘い香りに包まれましたが、和菓子屋さんの仕事はまだ終わりません。一つ一つを袋詰めです。出来立てほやほやのどらやきを袋に入れます。これまた、簡単にはいきませんでした。袋詰めをしているときに思わず食べてしまう子、幸せそうな顔をしていました。自分で作ったからこそ、このうれしい顔になるのでしょう。
お外ではお父様、お母様が待っていてくださいました。時間もかなり押してしまいましたが、子ども達の笑顔をみて、目をつぶってくださいました。とは言え時は金なり!時間は大切にしなければいけません。今日の失敗を次回に生かせるように、もっともっと準備を重ねます。

日本でも子ども達が大好きで、沢山成長する事が出来る遠足。いつかバンコクの子ども達ともやってみたいと思っていました。今回はまだまだプチ遠足ですが、和コーチをはじめ、バンコク在住のお母様、私の友人達の沢山のお支えがあり、一歩を踏み出す事が出来ました。バンコクに着いて、まず朝食を作って出迎えてくれた友人ご夫妻、世界一の温かい朝食、ブレークタイムでした。お弁当も子ども達の安全を考えてデリバリーをしてくださいました。生きる事、何かを成功するためには、沢山の沢山の支えがなければできない!又初心に戻り、新しい一歩が素敵な一歩になるように歩んでいきます。
子ども達を笑顔で送り出してくださったお母様方にも感謝でいっぱいです。まだまだ野望は広がります。次回はどこへ・・・・。

磯邊季里 @ 2015年09月16日 19:22 コメント: (0)

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