<バンコク>第6回「パターンブロック」で遊ぼう、学ぼう
2015年10月5日
毎回恒例になったパターンブロックのクラスが9月18日(金)19日(土)の2日間にわたり、TOYBOXで行われました。18日(金)はキンダークラスです。今回は日本のキンダークラスとバンコクのクラスを、インターネットで結び行いました。
同じ年のお友達の自己紹介からはじまり、はじめのご挨拶をしてお歌を歌いました。最初は、このとても不思議な空間に緊張もありましたが、パターンブロックという同じブロックを使うことで、まるで一つの空間にいるかのように、ブロックでリズム遊びをしてみたり、一緒になってお話をしながらクラスは進みます。6種類あるブロックですが、黄色の六角形でとことん遊びます。カスタネットに見立てて、たいこのうたやぞうさんなどの童謡を歌っては、お机をたたいてみたり、行進してみたり。今度は高く積んでみます。両方で競争もしてみました。
お机いっぱいに並べてみたり、夢中になる姿は場所が違ってもかわりません。迷路の上でぬいぐるみの象さんをお散歩させたり、ごっこ遊びも楽しみます。並べ方に少し手を加えてあげると、机の上には大きな大きな象さんが出来上がりました。黄色の上に赤いブロックをのせてみると、象さんが大好きなリンゴもできました。
パターンブロックで遊んでいるとその魅力に取りつかれてどんどん遊びの世界に引き込まれ、あっという間に時間が流れていきます。バンコクではクラスの後で、お母様方に子育てセミナーを行いました。海外の育児で大変なこと、たくさんある情報の中で取捨選択しなければいけない子育てなど、日頃ちょっと相談したいことも簡単に出来ない状況を、お話をしてみて感じました。こちらが何か答えを差し上げるのではなく、お母様方が心の中でもやもやしていることなどを話してみると、なんだか腑に落ちたり、すっきりしたり。海外でのお子様との接し方や環境など、私自身もたくさん学ばせていただきました。その間も、マットの上で夢中になってブロックを作りあげていく子ども達の姿に、お母様方も大変驚かれていました。たくさんのおもちゃがある今、子どもの気をひく物やキャラクターものなど、子ども達は次から次へといろいろな物が欲しくなっていて、シンプルな積み木遊びが少なくなっているように思えます。遊びを考えたり創作していくシンプルな積み木遊びこそ奥が深く、子ども達の好奇心、向上心、そして創造力の種がまかれるように思います。キンダークラスに参加した男の子が、翌日のおねえちゃまの小学生クラスにニコニコしながらついて来ました。小学生クラスは子どもだけのクラスですが、その男の子も一緒に残り、ずっとパズルを使ってご機嫌で遊んでいました。最後にはアイスクリーム屋さんを披露してくれましたが、ブロックで遊び続けたからこそ、彼の中での楽しさが創造力につながったのだと思います。
1歳から幼稚園に行ったり習い事に行ったり、子ども達がお家でゆっくり時間を過ごすことができなくなっている現在、お母様と過ごすこのゴールデンタイムを、是非お子様との時間を大切に、そしてお子様の行動からたくさんのことを発見されてほしいと思いました。今日のキンダークラスではパターンブロック遊びが楽しくて、お別れもなかなかできないくらいでした。
2日目土曜日の朝、「いそべっち」「お姉さまになったよ!」「久しぶり」などの元気な声が階段から聞こえてきます。幼稚園クラスは、前回のパターンブロックやドラえもんday campなどで会ったお友達もたくさん参加です。なんだか私も通常クラスのようにさえ思えます。時間になるまでマットの上で待ちきれなくなり、遊びはじめました。お友達が楽しそうにしているのを見てみんなが引き込まれるように遊び始めました。もちろん今回が初めてのお友達も参加してくださいました。私が何も言わなくってもずっと遊んでいられそうでしたが、時間になりクラスをはじめました。
まず、パターンブロックなのでパターン△にのせてみます。いろいろな形のブロックをつかって、△のパターンにのせようとする姿が見られてきました。ブロックを上に重ねてみると、横から見たらミルフィーユのようにきれいに重なっていたり、三角をつくっていたはずなのに四角になっていることを発見!こんな発見をしていくうちに、2つのテーブルでは夢中になってつくる、つくる!、止まりません。パターンの紙の上には、たくさんの形が紙いっぱいに作りあげられました。はじめは一人で作っていたものも、お友達が「すごいね!」「どうやって作るの?」などと声をかけているのがどこからも聞こえてきます。こうしてコミュニケーションがうまれ、一人が2人、2人が4人というようにお友達と一緒に作りだしました。
このブロックには、このような不思議な力があります。先日もN幼稚園の年長クラス、パターンブロックの授業で、お部屋の中にたくさんのブロックの山を用意し「何でも作って!」との言葉がけだけをしました。みんな最初は2個3個とブロックをとり平面を作っていますが、5分経過するとどうでしょう。方々から「見て!」「できた!」という声が聞こえ、クラスがとても賑やかになってきました。そして2人で作っているところに「入れて!」と加わり、相談して色々なものを作り上げていきます。そのうちリーダーになる子、アイディアをたくさん出す子、作ったものでたくさんお話をしてくれる子と、それぞれの役割を楽しみ、たくさんの夢の世界が広がっていきました。先生に伺うと、普段リーダーでない子がリーダーになっていたり、子ども達はいつもとは違う役割をし、違った面を見せてくれたようです。最後にはクラス全体で街を作ったところもあり、お教室は楽しい街になっていました。
普段はお家で一人でやることが多いブロックですが、たくさんのお友達と一緒に作っていくと、ブロックで作るということにとどまらずに、子どもの色々な面を育てていくと思います。1つのものを使って繰り広げられる世界。創意工夫がたくさんでき、考える力を育てます。ただただブロックを積んでいても倒れてしまったり、同じ積むことでも縦に積んだり横に積んだり、また手先をそっとつかってみたり、やればやるほど頭をフル活動させているように見えます。
2つの机で競争をしました。時間は限られているもの、だらだら過ごすのではなく、どんな時もテンポよく行動をすると、見えてくる世界も変わります。競争だけがいいわけではありませんが、競争をすることによって得ることもたくさんあります。「お友達の気持ちを考えて」も挙げられます。ここでお友達との関わり方を、子ども一人一人のやり方やタイミングで学んでいます。
机の上にブロックを平面に並べたら、今度は丁寧に立てていきます。はじめから立てるのは簡単ですが、机の上にはブロックが並べてあります。お友達が並べたものを壊さないように!「自分だけ良ければ」の考えではこの作業は出来ません。丁寧に並べるだけでなく周りの様子も察知して行動することを覚えます。生きていくうえでは丁寧に!丁寧に!という作業がとても大切なことは、子ども達によく話していますが、丁寧に行動することができれば、モノを大切にすることも覚えていけます。出来上がった2つのテーブルを、1つに合わせます。この時も、丁寧に丁寧にしなければブロックが壊れてしまいます。私たちも慎重に慎重に合体させました。大きな街、みんなが自分が作ったことをたくさんお話ししています。そして自信満々です。自分で工夫しお友達と相談したからこそ、いろいろお話をしたくなります。日本とバンコクが合体したような素敵な街で、みんな細部にも工夫をしているのが分かりました。最後にみんなで360度の角度から見てみました。四角い机だったので、東西南北なんて言葉も使ってみました。生活していると自然にこんな感覚も知っていますが、改めて教えてあげないと感覚と言葉はつながりません。子どもの頭の中には、たくさんの点が存在していますが、少しずつ線につなげていってほしいと思います。また、平面と立体の感覚を学べることもパターンブロックの魅力の一つ。毎日生活している中にも平面や立体の世界はたくさんあります。なんとなく過ごしているのではなく、そんな世界を気づかせるように声掛けをしてあげたらよいでしょう。
今度はブロックをマットに広げて、また違った世界を繰り広げていました。このブロックはレゴのように保存することは出来ませんし、全く同じものを作ることはなかなかできません。お友達がぶつかったら壊れてしまいます。とても残念な気持ちになりますが、しかたありません。だからこそ、そこで人の気持ちなども感じられ、自分がどのようにしたらよいかを学ぶでしょう。仲良しのお友達だけでやるのではなく、一つのブロックを通じて、新しい仲間もできてくるようです。はじめての場所で知らないお友達とコミュニケーションができる、まるで言葉を超えるような、ブロックの不思議な力です。
小学生のクラスには初めてのお友達がたくさん来てくださいました。兄弟姉妹で来てくださった方も多かったのですが、同じことをやっていても、それぞれの個性が豊かに輝いていました。このクラスはお母様方も送迎だけで、子ども達だけでクラスを進めます。子ども達はご両親がいらっしゃる時だと、どうしても素敵な姿を見せたい!と思い肩に力が入ってしまいます。最初は緊張気味だった子ども達もあっという間にお友達になり、相談しながら作業を進めました。
同じ三角を色々なブロックで作り始めました。年長さんも同じスタートでしたが、今度は三角をつくるのに、ブロックの数や色の指示を加えました。まず、ブロックを必要な分だけ集めなくてはいけません。いろいろなブロックをおいてみてできる三角に比べて、指示されたブロックだけで作りあげていくのは、向きを変えたり組み合わせたり、考えながらの作業で一工夫が必要です。結果は同じものが出来上がりますが、そこまでのプロセスがとても大切です。一つのものを習得していくには、答えをすぐ出すのではなく、「やってみては失敗をして、またやってみる」を繰り返すことで、一つのことを深め考えられることが、思考の訓練になります。このクラスの目的は、一つのことを深め、そこで考えたり創意工夫したことから発展をさせていくことで「なるほど!」「そうなんだ!」などの発見をたくさんすることです。そこから好奇心が育ち向上心へとつながっていくと思います。
その子どもに合った言葉で引っ張っていけるように、言葉かけもします。小学校の低学年、9歳までには、その時その時に適した言葉のシャワーを適当な距離をもちながらたくさんかけてあげてほしいと思います。この準備が親子でたくさんできている子どもは、同じ勉強をしていても上辺のことを覚えるだけでなく、難しいことや知らないことに出会った時もお手上げ状態にならずに、思考錯誤しながら一生懸命に取り組む姿勢が見られるようになります。
パターンブロックの基本セットについている『はらぺこあおむし』は、小さい頃から読んでいただくことの多いとてもなじみのある絵本です。いつ読んでも、ただ同じに聞こえるような絵本もその時の環境や言葉がけによって感じ方が変わってきます。ブロックとは離れますが、是非お子さんが大好きな1冊を作ってあげてください。そして、その絵本から様々な思い出をめぐらせたり、思い出を刻んでほしいと願っています。
ブロックで、はらぺこあおむしからちょうちょになるまでを作りあげました。スタートではみんな同じあおむしでしたが、子ども達が作っていくにつれ、それぞれが個性を持ちはじめました。机いっぱいにできあがったちょうちょは、本当に世界に一つの花の蜜を吸いに大空に飛んでいきそうでした。そして、お母様方がお迎えに来られた頃には、子ども達の表情はタイの大空で光を注いでいる太陽のようでした。ぎらぎらの暑い太陽ではなく、何本もの光の帯を放っているようでした。
パーターンブロックは小さい子ども達が楽しむものと思いがちですが、小学校5年生の教科書にも登場します。教科書に出るからやるのではなく、たくさんたくさん遊んでいると、きっと教科書で出会った時に色々な発見ができ、図形に対する興味が広がっていくと思います。そしてこの感性が、将来の夢の懸け橋になるかもしれません。
同じブロック、同じ時間、同じ場所でのクラスですが、同じお題でクラスを展開しても一つとして同じクラスは出来ません。だからこそ、私自身も子ども達とともにこの素敵な時間を満喫させていただき、次のクラスの出会いを楽しみにしています。そしてこの時間が、子ども達にとって遊びを通じた楽しいかけがえのない時間になるように、次回までも探求し続けます。
また、成長した笑顔の皆とクラスができることを楽しみにしています。