<こひつじかい>春の七草

2016年1月20日

 七草粥をいただく習わしの1月7日、こひつじかいでも皆で美味しくいただくことが恒例となっています。まずはお絵描きです。キンダークラスから新一年生クラスまでの子ども達が、4つのグループに分かれて七草のうち1~2種類ずつを描いていきます。「あれ?ちっちゃな大根みたい」「今度はどんな葉っぱかな?」という声が聞こえてきます。特に5種類の葉物を見分けるには、しっかりと観察しなければなりません。緑といっても少しずつ色が違ったり、根の部分に特徴を見つけたり、子ども達なりに工夫をして描き分けていました。七草すべてを描き終えたときには、そのページをそのまま絵葉書やポスターにして飾りたいと思えるような、配置の良さや生き生きとした葉物の様子が見て取れました。この日に七草粥をいただくには昔からの意味がありますが、子ども達の絵を見ると、それとは別に、新春に青々とした緑の葉物をいただくことは、目にも清々しく鮮やかな恵みをいただける良さもあるのだと感じました。

 七草を描き終えると、次にお粥を作るときに必要な土鍋を描きました。大きくて、ぽってりとしていて、なんだか重そうで、温かみのあるような・・・そんな様子が伝わってくるような土鍋の絵がたくさん仕上がりました。

 次はひとグループずつ七草を切っていきます。包丁を使うには注意が必要ですね。包丁を持っていない方の手は「猫の手」がお約束です。葉物を切る時と根菜を切る時では感触が違います。切っていくうちに葉が小さくなると、切り方を変えてみましょう。猫の手だったほうの手を包丁の上側に添え、小さくなった葉をまとめたところを上からトントントンと切ると、何だかお台所から聞こえてくる音みたい。ちょっとお母様の真似ができたみたいでうれしくなります。それから、七草を切っていくうちに香りがたってきたようです。独特の青物の香り、子ども達は好きでしょうか?

 七草を切る順番を待っているグループは、かるた遊びをしていました。遊びが盛り上がるにつれ、はやる気持ちが手に現れます。先生がかるたを読み終えるまでは、みんな手を頭の上にのせているというルールにします。みんなで楽しく遊ぶためにはルールを守ることが大切ですね。今は様々なゲームがありますが、昔ながらのかるた遊びの良さを改めて感じます。ご親戚など人が集まる機会の多いお正月に、大人も子どもも一緒にかるたを楽しめたら、きっと子ども達の幸せな記憶に残ることでしょう。

 さて、そろそろお腹が空いてきました。みんなで刻んだ七草をお粥に入れていただきましょう!お稽古場には大きな土鍋2つに、おいしそうなお粥が炊けています。テーブルは金や赤い色遣いでとても素敵にセッティングされています。みんなが座る椅子は、こひつじかいの中でもとっても小さなお友達が二人でお手伝いし、運んでくれたのですよ。よいしょよいしょと運ぶ姿はかわいらしくも誇らしげにも見えました。小さくてもできることは色々あります。お手伝いって楽しいな、ありがとうって言われてうれしいな、という気持ちを育ててあげたいと思います。

 秋にみんなで収穫したお米で作った、白くてぴかぴかしていてとってもきれいなお粥の中に、子ども達が少しずつ、刻んだ七草を入れていきます。白いお粥に緑が加わり、本当においしそうです。はやくいただきたいところですが、ここで少しお勉強です。先生が「春の七草、7種類言える人?」とおっしゃると「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ春の七草!」と元気な答えがかえってきます。なぜ今日七草をいただくかという質問にも「お正月で疲れた胃を休ませる」といった答えが聞こえてきました。昔から日本人が大切にしてきたお正月の風習は、地域やご家庭によって様々ですが、生活の知恵や日本の文化がつまっています。便利なものであふれている今の時代だからこそ、子ども達に伝えていきたいと考えています。本屋さんに行ってみると、美しい挿絵を交えてお正月の習わしなどを紹介している本を見かけますので、ご家庭に取り入れられても良いかもしれません。知識を得るだけでなく、子どもらしい発想の楽しい会話もうまれることでしょう。

 おまたせしました、「いただきます!」と元気にご挨拶して子ども達がおいしそうに七草粥をいただきます。あっという間にお椀を空にして、お代わりをする子が続出します。大きな土鍋で作ったお粥はあっという間に空になってしまいました。

 とてもシンプルなお粥を本当においしそうに食べる子ども達をみて、明るい新年の幕開けを感じました。様々な活動のなかでは、うまくできなくて泣いてしまうことがあるかもしれません。それでも諦めずに努力し続ける頑張る力が、きっとこの子ども達にはしっかりと備わっていることでしょう。

 さあ、ごちそうさまをしたら、午後の流鏑馬へ向かいましょう。

磯邊季里 @ 2016年01月20日 11:36 コメント: (0)

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