<こひつじかい>凧揚げ・どんど焼き

2016年1月22日

 1月10日冬晴れの日曜日に毎年恒例の凧揚げ・どんど焼き遠足へまいりました。今ではあまり見かけなくなった凧揚げを、安全に心行くまで楽しめる機会です。どんど焼きは日本各地で呼び方や実施日が異なりますが、お正月に飾った門松や注連縄などを焼く年中行事で、その残り火で焼いたお餅やお団子を食べるとその一年は健康で過ごせると伝承されているものです。今日の遠足ではいつもの持ち物に加えてお正月のお飾りがあります。子ども達のなかには喪中だったご家庭もあります。そのためにお正月のお飾りがなく、遠足に持ってくるものがなかったと言う子ども。子どもらしい理解ではあるものの、小さな頃からこういった日本の文化を感じられる機会となっています。

 多摩川駅に9時集合、30人を超える大所帯です。小学生をリーダーにして6つの縦割りチームを編成しました。小学生といっても1年生と6年生では随分と違うので、6年生が1人でリーダーをするところを1年生は2人で務めることにしました。チームにははじめて参加する子もいるので、名前をしっかり覚えます。チームはいつでも一緒に行動し、誰もはぐれてしまわないように注意するのがお約束です。縦割り班での行動ではどの子にも学ぶことがたくさんあります。

 日曜日だったので電車は混雑していませんでしたが、私達が乗車したところだけが混雑になってしまいました!公共のマナーを守りながら蒲田を目指し、そこでバスに乗り換えて六郷土手に向かいます。バスを降りてから土手を歩くこと約10分・・・長い列でだらだらと歩きがちですが、今回はまるで競争がはじまったかのように抜いたり抜かされたりしながら進んだので、みんなほぼ同時に目的地に到着しました。

 そこには乾燥した草木などでできた大きく高い山(これを「どんど」と呼ぶ)が準備されていました。それを見つつはじまりのご挨拶をしたら凧作りにとりかかります。チームごとに、一人に一つずつ渡された凧に絵を描きます。凧が高いところへ行ってもよく見えるように、大きな絵を描かなければなりません。紙製ですが、骨組みがあるので少し描きにくいです。雑に扱うと骨が折れてしまいます。チーム内で相談しながら、大きくカラフルな絵を描くことができました。途中、先日の六郷神社での子ども流鏑馬でお世話になった方が私達に気付いてくださり、「流鏑馬に来た子は誰かな?」とお声をかけてくださいました。遠足恒例の、しおりのお絵描きのページにも忘れずに絵を描きました。

 この凧以外にも、やっこ凧やとんび凧が用意されています。六郷とんび凧の会のおじさん達があげていました。とんび凧をあげていると本物のとんびがやってくるそうですが、さて今日はどうでしょう。

 どんど焼の準備として、消防の方達が河原の草に放水をはじめます。それを見た子ども達に「何でかな?」と問いかけます。どんど焼の炎は相当なもの。万が一周りに火が移ったら大変です。周囲が燃えないように、あらかじめ濡らしておくことを知りました。1月7日の出初式で様々なことを学んだ消防活動。その記憶が新しいうちに、また一つ活動を目の当たりにできました。

 どんど焼きの準備が進んでいる間、子ども達は自分達が持参したお正月のお飾りを「どんど」のところへ持っていきます。それから広い河原を走り回って遊びました。1月ですがお天気も良く、動き回る子ども達は暑くて暑くて、半そでになって走り回っていました。

 どのくらい遊んだでしょうか、そろそろお昼になるので呼び戻そうとしていたら、一人二人と「お腹がすいたよー」と子ども達が帰ってきます。正確な腹時計!みんなを呼んでランチタイムにしました。お腹がぐーぐーだったので、あっという間にお弁当を食べてしまいました。

 その頃、どんどに火がつきました。その周りにはすごい人だかりがの輪ができていましたが、あっという間に燃え上がる炎の勢いや熱さで人の輪は下がっていきます。バチバチという音、燃える匂い、そしてすすが飛んできます。安全に十分配慮されたうえでこのような炎の勢い、物が燃える様子を体感することは、きっと子ども達にとって貴重な経験であると思います。今の便利な世の中ではすっかり忘れていますが、昔は家庭のなかでも火をおこし、煮炊きをしていたように、火は人間の生活に欠かせないものです。そして日本人は燃える炎に神々しささえ感じてきたのはないでしょうか。

 凧名人の凧あげも、今日の大きな目玉です。凧名人から凧をいただこうという人の列が早々とできています。私達も並ばなくては!ということで、2歳児から小学生まで一同で並びます。ずっとお行儀よく並んでいるだけではつまらないので、ここでゲームを考えました。列から少し離れたところにある目印と、列との間を走ります。合図があったらみんな同時に走りだすので、列ごと移動しているみたいです。6年生も本気で走ります。2歳児もがんばります。全員で10本くらい、なかにはスキップバージョンも交えてレースをしました。何もないところでも一工夫で飽きることなく時間を過ごせました。

 そうこうしているうちに凧をいただく順番になり、早速凧揚げをしたいところですが、その前に大事な作業があります。焼き芋の準備です!長いながーい竹竿の先に針金をつけたものが配られ、そこにホイルで包んださつま芋をくくりつけます。チームごとに一本の竹竿を燃え尽きたどんどに入れるのですが、なにせ長い竹竿なので振り入れるのは大変です。まわりには人も多いので余計に注意が必要です。チームで協力してバランスをとりながら、竹の部分は残り火につかないように気を付けてお芋を投入しました。

 無事に焼き芋の準備ができたら、さあ凧揚げタイムです。名人の凧はなんてよく上がるのでしょう。小さい子は走りまわります。小学生は持ち手をポケットに入れ込み、何も持っていないのに凧が付いてくる!などと言いながら凧揚げを楽しんでいました。そのころ、本物のとんびが本当にやってきたので、子ども達は大喜びでした。

 はじめは凧揚げをする人が多く、すぐにほかの凧と糸がからまってしまいほどくのに手間取っていたのですが、気が付くと河原で遊んでいるのは私達くらいになっていました。広い河原を独り占め!自由に走り回り、凧揚げを堪能しました。

 さて、焼き芋ができあがりました。持ってきたおやつも一緒に出来立ての焼き芋をいただきます。お芋を半分に割ってみると、ホクホクしたものもあればねっとりした感じのものもあります。どうやらねっとりしている方がより甘いと感じた子は、外から触って柔らかい感触を確かめてから食べていました。

 気が付けば解散の時間がせまっていました。大急ぎで帰るお仕度をし、やってきた道をたどります。バスにわさわさと乗り込み、電車に乗って多摩川駅へ。お迎えのお父様お母様にお待たせしてすみませんとお詫びをしました。

 河原で凧揚げを楽しむ子ども達の元気な姿は生き生きと輝いていました。凧揚げは昔ながらのシンプルな遊びです。季節感を感じられ、「どうやった高くあげられるかな?糸がからまったらどうしたらいいかな?」といったことを自然に考えられ、仲間とのコミュニケーションも弾んでいました。どんど焼きの意味を子どもなりに理解し、焼き芋を楽しむことができました。今日のこの場を準備してくださった方々いらっしゃること、その方たちへ感謝することも含め、子ども達には豊かな学びとなった一日ではなかったでしょうか。

 次の日もお天気だったので、自分で作った凧を空高くあげていたといううれしい報告がありました。

磯邊季里 @ 2016年01月22日 15:05 コメント: (0)

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