<玉川テラス>本当の知力を身につけさせる方法 子育てで大切なこととは?

2016年3月14日

3月7日(月)生憎のお天気となりましたが、いつものように和やかでリラックスした雰囲気のなか、玉川テラスの子育てセミナーをいたしました。今回のテーマは「幸せなら態度で示そう!」です。なんだか歌の歌詞のようですが、昔から親しまれてきた歌のフレーズには、シンプルながらも普遍的なメッセージが込められているように思います。お集まりいただいたのは、園児の子育て奮闘中のお母様方。皆さま熱心に日々子育てをされています。でもだからこそ陥りがちな落とし穴に注意するために、今日はご一緒に子育てで大切なことを改めて考えてみましょう。

 冒頭で、「このセミナーが終わったときに、どうなっていたら最高ですか?」という問いがあります。皆さん、真剣な表情でご自分の答えをお考えのご様子。質問をされると、聴く側の意識が高まると思います。すぐに答えが出ないことがあったとしても、それはそれで良く、考えることが大切です。
 さて、私達が今一生懸命に取り組んでいる子育てですが、「育てる」とは、どんなことか改めて考えてみましょう。まずは「いのちの大切さを教えること」です。生きていることを感じ、生きているってすばらしいと思えるようにすることがとても大切です。自分以外、人間以外の生きているものに関心が持て、大切にしようとする優しい心が育つのです。そして子育ての目的は、子どもの自立です。自立とは、自分の身を自分で守り、世の中や人とつながりを持ち、それらの役に立つことができるようになることを意味します。親が過保護や過干渉、放任といった間違った子育てをすれば、子どもの健全な自立に問題が生じることになります。本当に子どものためを思うのなら、「かわいい子には旅をさせる」気持ちを親が持つことが大切です。心配だからといって何もかも先回りして手出しをすることは、結局子どものためにならないのです。子ども一人ひとりに人格があり、生まれながらにしてその子ならではの力を持っているもの。子育てでその力を引き出すことができたなら、きっとそれは親子にとって幸せな子育てになるはず。ではそのためにはどうしたらよいのでしょうか?
 幸せな子育ては「気付いたときから」いつでもスタートできます。親は、親とは別の人格を持つ子どものコーチになると考えてはどうでしょうか。コーチであるご両親がまずすること・・・それは、お父様お母様がご自分らしく幸せに生きていくことです。何だそんなこと、そう思われるかもしれません。けれども子どもは親の姿からたくさんのことを学ぶものです。親が精力的に精一杯精進し、家族で暮らすことを楽しんでいれば、子どもは人生をいかに生きていくべきかを学んでいけるのです。親は試行錯誤しながらもその子に合った言葉を投げかけるようにしていければ、子どもは希望をもってすくすくと成長できるでしょう。子育ては簡単ではありませんが、子どものことをよく見て楽しむように指導することが最大のポイントです。生まれながらに「出来ない」子どもなどなく、それは「やりたくない」子どもです。子どもがやりたくないと思う要因は指導する親の姿勢にあります。親が子どもに残せる最大の愛をもって、子どもを信じて一歩一歩焦らずに「一人で生きていける知恵」を授けることです。
 子どもを指導するときの「褒め方、叱り方」についても触れておきましょう。
いずれも基本は良いこと悪いことを表情や態度で示すことです。このときシンプルに伝えるようにします。褒めるとは、良いレッテルを貼ることです。ちょっとしたことでも何かが初めてできたようなときは、大げさなくらいに拍手をしたり抱きしめてあげたりして、プラス評価のレッテルを貼ってあげましょう。
 ところで、日本人は褒めることや褒めてもらえるようにアピールする(=自慢する)ことにあまり慣れていないように思いますので、練習をしてみましょう。自分を自慢する自慢大会です!趣味や自慢の一品を1分間で考えて自己紹介をします。相手の話を聞いて相手の価値観を認めます。自分のことを聞いてもらい、自分を認めてもらいます。「すごいね!」と言ったり、言ってもらえると、なんだかとても良い気持ちになります。表情が穏やかになり、心も穏やかになりませんか?まるで心のマッサージのようです。この効果を子育てにも活かしましょう。
 では「叱る」ときは?悪いことをわかりやすく教えなければいけません。幼児なら、叱られて泣いてしまうことが多いでしょう。叱った後にその子を「おいで」としっかりと抱いてフォローしてあげることが大切です。ここで泣いたままにしておくことは「怒る」です。叱ることと怒ることは違いますね。叱り方でしていはいけないのは、感情的になることと、誰かと比較することです。慌ただしい毎日のなかではつい感情的になり怒ってしまう、そんな落とし穴に陥りがちではないでしょうか?褒めるときは良いレッテルを貼りましたが、叱るときはレッテルを貼ってはいけないことも意識しておいてください。
 幸せな子育てで大切なこと、「親が幸せに精力的に生きている姿を見せる」「褒め方と叱り方のポイント」をお話ししたあとは、最近のみなさんの子育てのお話を伺ってみました。子育てでうまくいったこと、とてもうれしいことですが、普段はなかなか口に出してどなたかにお話しする機会がないものです。お稽古場や各種セミナーでも、子どもは遊びのなかで自然に学んでいけるもの、そうできる環境が大切とお話ししています。今日お集まりの皆さんにも、毎日の遊びのなかでうまくいっていることがおありのようでした。でも一般的に子育てでは「うまくいかないこと(子どもができていないこと)」を探すのは得意でも、「うまくいっていること(子どもが出来ていないこと)」は探しにくいのではないでしょうか。ここは是非意識をもって、子どもの「出来ないこと探し」をする目を「出来ていること探し」の目に切り替えましょう。出来ないことにばかり目がいくと、子どものやる気を損ないかねません。出来ることを探す目を持てば、子どもの自発的な成長を待つことが今までより楽になるはずです。そんなお母様の視線や表情は和らぎ、子どもはその変化を敏感に感じ取るものです。出来たことを認められた子どもは親に愛されていることを肌で感じ、生きるエネルギーをパワーアップさせることができるのです。自尊感情の高まりが「やる気」の循環を良くします。そういった子どもの様子がお母様をさらに優しい表情にしてくれる、子どもに任せておけば自分の力で育っていき、自然と「幸せな子育て」になるのです。しかしこの「子どもに任せる」ことの難しさ!でも大丈夫、この難しさに気付くことが大切なのですから。特別ではない身近なところで、例えばお手伝いを通して「出来ること」を引き出していってはどうでしょうか。いずれにしても、長いスパンで子どもを見守る気持ちを忘れないでください。
 幸せな子育ての落とし穴についてもう一つお話しましょう。子どもを褒めるときに「いい子ね」「えらいね」という言葉で伝えると、子どもが親が喜ぶような「いい子」を演じるようになり、自分を見失いかねないということです。幼い子どもにとって親が喜ぶ姿ほどうれしいものはなく、親を喜ばそうとがんばります。そうして子どもが親を喜ばせてくれたときには、「手伝ってくれて助かった」「片付けてくれて嬉しい」「待っていてくれてありがとう」など、その喜びや感動をそのまま言葉にしましょう。親からこういった言葉を聞いた子どもは自分に親を幸せにする力があると知り、褒められるよりもはるかにポジティブな感動を覚えるものです。そしてこの感動が、もっと自分の力を試してみたい!という原動力につながり、その積み重ねが子どもの可能性を開花させていくのです。
 繰り返しになりますが、一生懸命に子育てをしているつもりでも、陥りかねない落とし穴があります。だからこそ、今日のような機会をうまくつかって、ときどきご自分の子育てを振り返ったり、試行錯誤しながら丁寧に進んでいくことが大切なのです。不安や心配もあることでしょうが、一ミリでも前に進もうとするプラス思考で、どんな世の中であっても誠実に堅実に努力を惜しまない事を心に留めていれば、それぞれの幸せな子育てができることでしょう。
  セミナー後の受講者アンケートには「叱り方がわかり、日々の子育てに役立てたい」「良い子という言葉でしばらない、伸ばせるほめ方を意識したい」「ママが良い表情でいる大切さがわかった」「自慢する気持ちよさ、褒められる喜びを学べた」「子どもの小さな成長を見つける幸せ、わくわくする気持ちを思い出せた」「子どもに伝えたいのは愛なのだと改めて気付けた」といった感想が寄せられました。また別の切り口から、子育てについてご一緒に考える機会をつくって参りたいと思います。それまでの子ども達の成長ぶりを伺うのが、今からとても楽しみです。

玉川高島屋S・C「玉川テラス」にて

磯邊季里 @ 2016年03月14日 08:53 コメント: (0)

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