<バンコク> 巧緻性を通じての学びのクラス
2017年3月5日
2月20日(月)から23日(木)にかけて巧緻性を通じての学びのクラスを行いました。ホテルのお部屋をお稽古場として整え、子ども達を迎えます。日本のお稽古場とおなじように季節の詩や歌が書かれた紙を壁に飾ってみました。口ずさんでいけば子ども達はあっという間に覚えてしまいます。ここタイでは四季を感じることができないので、日本で生活するのとは違った工夫が必要なことがあります。本帰国後の生活のためはもちろん、日本人として備えておきたいのが季節ならではの感覚と言えるのではないでしょうか。
巧緻性をテーマにしたお稽古ですが、巧緻性を意識しながら「遊び術」を念頭に置いたお稽古をしました。タイならではの季節の感覚というお話をしましたが、時間の流れも国によって違うもの。日本よりもゆったりと時間が流れるタイです。子ども達がやがて自分で学校のスケジュール管理をしていくことを踏まえ、小さいときから時間や曜日の観念を意識して持たせてあげることが必要だと思います。残念ながら今回のお稽古では、子ども達が渋滞の多い生活などの諸事情により、ルーズになりがちな時間の過ごし方を覚えてしまっていると感じました。バンコクならではの風習があるなかでも子ども達が自分で考えて自分でやる、そんな時間をお稽古に取り入れました。
他のお稽古でお話ししていることと重なりますが、やはり一つ一つを丁寧にやるということがお稽古の基本です。ついつい子どもに色々なお稽古をやらせ、つまいぐいのようになりがちですが、やることを減らしてでも一つ一つを深めてほしいと思っています。
今回のクラスのなかに3歳の子が一人参加していました。3歳といっても、生活環境(兄弟の有無など)によって成長の様子は異なります。この3歳の子は純粋に「やってみたい!」と、年上のお兄さんお姉さんに負けない意欲を発揮してお稽古をしていました。
日本のお稽古でも使っている「季節のパズル」をやったり、パターンブロックを用いての数を数えるプリントをやりました。巧緻性を念頭に置いた遊び術として、自分達で作ったおもちゃで遊んでみました。そこにはガラスでできたビー玉を使いましたが、特に小さいビー玉は誤飲のリスクがあり、ガラス製なら割れてしまうリスクもあるでしょう。けれども普段のお稽古から、危ないからといって排除することはしていません。何がどのように危険なのかをきちんと伝えて教えてあげることが大事だと考えています。
お稽古のはじめに壁に飾った詩は谷川俊太郎さんの「月火水木金土日のうた」です。どのお稽古もまるで日本でやっているかのように日本と変わらない雰囲気で進みました。
お稽古の雰囲気をとても大切にしていますが、特に「家庭的である」ことに重きをおいています。今回はこの雰囲気のためにも子ども達にカップケーキを作っておきました。ひな祭りが近いので菱餅を模したお菓子やひなあられもあります。お稽古終了後の充実感や高揚感、そして同時に安堵感が混じったような気持ちの子ども達と、おやつタイムを楽しみました。
良い表情でバイバイと手を振り、子ども達が帰っていくと、ちょうど夕日がとても美しい時間になっていました。美しくも力強さを兼ね備えた太陽を見ながら、子ども達の心の中がいつもこのようであってほしいと思いました。